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シェアリングエコノミー×インバウンドは地方創生の切り札になるか(後編)
九州シェアリングサミット2018から
まちづくりに寄与するシェアバイクやシェアハウスも受け皿となる
マーケティングが奏功しインバウンド需要が高まれば、それに応えられるだけの地域の“受け皿”が必要になる。九州で自動車やEV(電動自転車)のシェアリングにも取り組んできたがTMN北九州だ。理事長の植木 和宏氏は「社会課題にいち早く対応できることからNPOの形をとっている」と話す(写真3)。2010年からは、「シティバイク」事業を本格化させた。
その一環で、2018年4月に中国のシェアサイクル事業者ofo(オフォ)と提携した。世界22カ国、250都市以上でサービスを提供するシェサイクルの大手である。OFO JAPAN 事業開発マネージャーの入江 満 氏は、「中国では経済成長によって自転車に乗らなくなった人が増え、自転車の所有数が減ったことが、逆にシェアサイクルの普及を後押しした」と話す。
入江氏は、「自転車は都市のラストワンマイルの効率的な移動手段であり、車から自転車に乗り換えることで町の活性化にもつながる」と指摘する。北九州では、日本の規制が求める「ポート(駐輪拠点)」を設置するために、TMNが事業用地を提供し、ofoが自転車とシステムを提供する形で18カ所を開設した。
ofoは、滋賀県大津市や和歌山市でもサービスを提供するが、「地域によって特性が異なるため、行政や地域の民間企業と協議を重ね、慎重に進めている」(入江氏)とする。
関東と九州でシェアハウスをコーディネートするHidamari代表の林田直大氏はシェアハウスの本質を、「“立地”と“築年数”で競争してきた物件を“企画”と“管理”の力で選択してもらうこと」と説明。そこでは「価値観が混ざり合う場が作れる」(同)とする(写真4)。熊本では、高校の寮だった6LDKの建物を熊本大学医学部などと連携し国際交流ハウスとして運用している例もある。
林田氏がシェアハウス事業を立ち上げたのは、熊本大学大学院の在籍中。「作り出したいのはコミュニティー。15人規模の多様なシェアハウスを作り、人と人、シェアハウスと地域、シェアハウス同士などの“つながり”を創ることを大事にしている」とした。
九州シェアリングサミットは、すでに第3回以降の準備が始まっている。この秋には鹿児島県や宮崎県で開かれる予定だ。ここから、どのようなシェリングサービスが生まれ地方を活性化するのか注目していきたい。