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CDOの“次の一手”、セブン&アイ、横河電機、パーソルのデータ活用戦略

「CDO Summit 2019」パネルディスカッションより

指田 昌夫(フリーランス ライター)
2020年3月13日

技術はパートナーとの連携で獲得

――データを生かすためのテクノロジーは、どのように発掘し活用していますか。

友澤 :人材データは取り扱いに注意しなければならず、技術開発競争も激しくなっています。パーソルにはAI(人工知能)人材が約30人、開発者も約20人がいます。一方で、買収した地方の派遣会社など、デジタル化に遅れを取っており抵抗勢力にもなっているところもあります。そうした拠点の活性化を図るために、データを扱う“基礎体力”を高める取り組みから始めています。

 たとえば、データレイクなど見える化の基礎となる投資は事業会社個々では難しいため、ホールディングスがバックアップして整えています。データの出所などのガバナンスもホールディングスが管理しています。個別に活用を伸ばしていくところは事業会社が主導するという住み分けになっています。

舩生 :データの収集・活用とAI、自動分析などの技術を使っています。特に横河電機ではマルチクラウド基盤の活用が重要です。IoT(Internet of Things:モノのインターネット)に関する技術はパートナーと一緒に取り組んでいます。

清水 :データ活用には数多くの技術が必要ですが、最も注目しているのは7iDと外部データの連携です。IDの統合では個人情報の問題があるので、ブロックチェーンなどの先端技術が、どう使えるのか模索しています。

 ただ、こうした部分は自社だけで実現するのは困難です。イベントなどで説明し取り組みを積極的にアピールし、協業できるパートナーを探しています。

データ活用に向けた社内共通意識の醸成が必要

――データ活用において、どんな課題がありますか。

舩生 :課題は、社内に存在するデータをどう活用するかです。そのため“データ文化”を育てるという取り組みをしています。具体的には、会議では基本的にExcelやPowerPointを使わず、ビジュアルアナリティクス・ツールを使うようにしています。

 たとえば社内資料では、各自が都合のいいようにデータを取り出して加工してしまうので、本当の問題が見えなくなっていました。結果、会議時間の半分は「このデータはどこから来たの?」といった質問で終わってしまう。そうではなく、悪いデータでも基本的には、ありのままを引き出して議論することが必要です。

友澤 :個人情報保護法の改正にどう対応するかなど、攻めだけでなく守りの部分でも共通認識を持っていくことが課題だと思っています。

清水 :セブン&アイ・ホールディングスの課題は2つあります。1つは言葉の定義の問題です。たとえばDXといっても人によって、とらえ方が異なっています。それでは向かうべき方向性がずれてしまうので、これをどう揃えていくかです。

 もう1つは、データドリブン経営の文化をどう定着させていくかです。論理的に思考して業務に当たれる人を増やし育てていく必要があります。そのために、グループ間の人材交流や大学と連携したデータサイエンティスト育成プログラムなどを実施しています。