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CDOの“次の一手”、味の素、東京海上、ストックマークの共創戦略

「CDO Summit 2019」パネルディスカッションより

奥野 大児(ライター/ブロガー)
2020年3月12日

デジタルトランスフォーメーション(DX)には大きな期待がかかっている。東京・丸の内で2019年12月3日に開かれた「CDO Summit 2019」(主催:CDO Club Japan)のパネルディスカッションで、味の素の代表取締役副社長執行役員CDOの福士 博司 氏と、東京海上ホールディングスの事業戦略部・デジタル戦略室長である住 隆幸 氏、ストックマークの代表取締役CEOである林 達 氏の3人がDXの可能性を語った。モデレーターはCDO Club Japan理事で事務総長の水上 晃 氏が務めた。(文中敬称略。肩書はいずれも開催当時)

――デジタルがもたらす変化は「機会」でしょうか「脅威」でしょうか。

味の素 福士 博司 氏(以下、福士) :味の素の代表取締役副社長執行役員でCDO(最高デジタル責任者)を務める福士 博司です。デジタルによるディスラプション(破壊)としては脅威のほうが大きいですね。ただ機会も大きいと感じています。

写真1:味の素 代表取締役副社長執行役員CDO 福士 博司 氏

 社会的課題の解決にはスケーラビリティーが必要です。情報をデジタル化することで診断が可能になりリテラシーを育てられます。さまざまな異種企業や地域とデータを結合させことで、課題の解決範囲が広がります。いちプレイヤーではできないことができるようになることは機会だととらえています。

東京海上ホールディングス 住氏(以下、住) :東京海上ホールディングス 事業戦略部・デジタル戦略室長の住 隆幸です。機会と脅威の両面があると考えています。

写真2:東京海上ホールディングス 事業戦略部・デジタル戦略室長の住 隆幸 氏

 簡単な脅威の例はデジタル化で事故が減ることです。保険会社の主力商品である自動車損害保険のマーケットは、自動運転が本格的に実用化されたら縮小するでしょう。

 ただし、技術が進んでも事故が全くなくなるわけではありません。解決のためのノウハウは今後も必要で、これは新しい商品を開発するチャンスです。これまでも簡易保険や火災保険、原子力の保険、サイバー保険など、新しいリスクを商品開発につなげてきました。

ストックマーク 林 達氏(以下、林) :ストックマークの代表取締役CEOの林 達です。産業構造が変わるときはプレーヤーが変わるときなので、大企業にとっては脅威でしかないでしょう。

写真3:ストックマーク 代表取締役CEOの林 達 氏

 そのスピードは、AI(人工知能)の時代になると速くなります。そのことを一番大きく感じたのはスマートフォンの登場です。携帯電話では世界で一番だった日本が「iPhone」に塗り替えられてしまいました。

:当初は、私たちの仕事が奪われるのではないかという感覚はありました。ですが、テクノロジーと人を融合させるためには人の仕事が存在する理解することで、テクノロジーを積極的に取り込む効果が出てきます。人減らしのためのテクノロジーに取り組んでもモチベーションが下がるでしょう。