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日本発のIoTプラットフォームに向けたコマツとコニカミノルタの挑戦

志度 昌宏(DIGITAL X 編集長)
2017年9月25日

 2017年10月、日本発の業種・業務特化のIoT(Internet of Things:モノのインターネット)プラットフォームが始動する予定だ。建機大手のコマツの「LANDLOG」と、MFP(複合機)などを手がけるコニカミノルタの「Workplace Hub」である。自社のサービスを核にしながらも、種々の関連サービスを提供してくれる企業の参画をうながす。IoTで生まれるサービスが“自前主義”では成り立たないことの表れだ。

コマツ:2001年からの取り組みを方針転換

 コマツが提供を予定するのは、建設現場を対象にしたサービスを提供するためのプラットフォーム「LANDLOG」である(図1)。そのために、携帯通信のNTTドコモと、デザイン思考の方法論やIoT用ソフトウェアなどを提供するSAPジャパン、ドローン事業などを手がけるオプティムとの4社で新会社を設立し、企画・運用する。

図1:LANDLOGの概念(プレスリリースより)

 IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の具体例といえばコマツの名が上がるほど、コマツは早くからIoTに取り組んできた。建設機械の盗難防止策として2001年に開始した「KOMTRAX(コムトラックス)」である。遠隔地から建機の存在場所や稼働状況が分かるため、建機の管理から保守、省エネ運転支援などを可能にした。

 KOMTRAXをベースに機能/サービスを施工現場に拡げたのが「KomConnect」だ。施工現場をドローンで撮影し3次元の施工現場モデルを作成。そこから土をどれだけ削ったり盛り上げたりするかを計算し、必要な建機の数なども割り出す。建機自体も3Dモデルに沿って動作するため、熟練者でなくても大型建機を操作できる。労働力不足をIT活用で解消しようと国土交通省が進める「i- Construction」に向けた先進例だといえる。

 そのコマツが、なぜLANDLOGなのか。その理由を大橋 徹二 社長は、「施工現場は建機だけが稼働しているわけではなく、複数の事業者が関与している。建設現場全体をカバーしようとすれば、プロセス全体を一元管理できなければならないからだ」と説明する(写真1)。つまり、建機で土を削り出せば、土を運び出すトラックが必要だし、現場で働く作業員の確保・送迎も必要になる。作業員が利用する休憩所やトイレ、食事なども手配しなければならない。これらの全サービスをコマツ1社では提供できないということだ。

写真1:「LANDLOG」を発表するコマツの大橋徹二社長(左から2人目)

 KomConnectは、(1)必要なデータを収集・蓄積・解析する機能と(2)蓄積されたデータに基づき各種アプリケーション/サービスを提供する機能の2層構造になっている。今後は(1)の機能はLANDLOGに順次切り替える。コマツ自身は「LANDLOG上で建設現場のソリューションを提供するプロバイダーの1社として、建設現場の課題解決に集中して取り組む」(大橋社長)考えだ。