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日本郵船、船舶IoTに分散処理を採り入れ次世代プラットフォームの開発を推進

DIGITAL X 編集部
2017年9月28日

日本郵船は、船舶IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の次世代プラットフォームの実現に向け、グループ会社のMTIとNTT、NTTデータと共に新たな実証実験を始めると2017年9月19日に発表した。船舶にも各種データの処理環境を搭載し、よりリアルタイムな情報処理を実現する。船舶IoTの国際標準規格にも対応する。

 日本郵船は、2014年からの中期経営計画「More Than Shipping 2018 ~Stage 2 きらり技術力~」において技術力による差異化をテーマの1つに掲げている。その中で、安全と環境への取り組みにおいては、データを活用することで、最適な運航や船舶機器の故障予知・予防、自律航行などの実現を目指している。

 その一環として、グループ会社のMTIと共同で開発しているのが船舶IoTの「SIMS(Ship Information Management System)」である。船舶の運行状態や燃費、各種機器の状態などを船上だけでなく陸上でも把握するためのシステムだ。船舶と陸上のデータのやり取りには、ノルウェーのDualogが持つ船舶間通信技術を利用し、人工衛星経由で実現している。

 NTT/NTTデータとの共同実験では、船舶にデータ処理環境の「SIMS BOX」を搭載し、それをSIMSと連携させる。クラウドとの分散処理を実現する、いわゆる「エッジコンピューティング」の考え方を取り入れる。船上の機器やセンサーとのデータ交換が高速になり、一部のデータ処理をSIMS BOXで実行することで、よりリアルタイムな制御や判断が可能になるほか、クラウドや陸上のサーバーにかかる負担を軽減できる(図1)。

図1:SIMS(Ship Information Management System)の次世代プラットフォームの概念。赤枠内がNTTらと取り組む実験で検証する範囲(日本郵船のプレスリリースより)

 今回実験する次世代プラットフォームは、船舶IoTに関する国際標準規格に準拠させる予定だ。日本やヨーロッパの船級協会(船舶の安全に関係する規則を制定し、審査を実施する団体)が進めるデータセンター構想との連携も可能になる。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名日本郵船
業種物流
地域東京/全世界
課題各種船舶データを処理するサーバーの負荷分散
解決の仕組みエッジコンピューティング機器を船舶に搭載
推進母体/体制日本郵船。NTT、NTTデータが協力
活用しているデータ船舶の運航状態を示すデータ
採用している製品/サービス/技術エッジコンピューティング機器
稼働時期2017年9月