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日本キャタピラー、油圧ショベルのIoT機能を標準装備にしi-Construction対応を推進

志度 昌宏(DIGITAL X 編集長)
2017年10月11日

キャタピラー製の建設機械などの販売/サービスを手がける日本キャタピラーがこのほど、最新の油圧ショベルの内覧会を東京都内で開催した。最新機種の目玉は、デジタルテクノロジーを使った現場施工を可能にする機能を標準装備にしたこと。国が進める建築現場のデジタル化施策である「i-Construction」への対応を加速する。

 油圧ショベルの最新機種「Cat320」は、キャタピラーの主力機種。兵庫・明石工場で生産し全世界に向けて出荷される。日本では10月1日から販売している。次世代モデルに位置付け、「25年ぶりにプラットフォームを一新し、モジュール化を推進した」(キャタピラージャパンの油圧ショベル開発本部 副本部長の豊浦信海 氏)。ここ数年は「世界各国の排ガス規制への対応がモデルチェンジの中心だった」(同)という。

 機械としての改良に加え、Cat320では、センサーデータなどを使って施工の自動化を可能にするIoT(Internet of Things:モノのインターネット)対応機能を標準装備にした(写真1)。日本キャタピラーで広域営業事業部を担当する執行役員の本郷 毅 氏は標準装備にした理由を「少子高齢化の課題を抱える建設業が目指す新しい3K、すなわち「給料・休暇・希望」を実現するため、デジタルテクノロジーで貢献するため」と語る。中大型機のデジタル対応率は、「2020年に50%と言われるなか、75%を目指す」(同)とも言う。

写真1:油圧ショベルのアーム部に取り付けられたセンサー(側面の四角い部分)

 標準装備にしたのは、同社が「2Dマシンコントロール」と呼ぶ機能。具体的には、基準点を元にバケットの刃先までの深さ・高さ・勾配をリアルタイムに測定し、設定した施工面までの作業をガイダンスしたり、バケットやブームの動きを自動制御し仕上がり精度を高めたりができる。またバケット内の土類などの重量を自動計測する機能も標準装備にした。いずれも作業精度を高めたり、作業量の過不足をなくしたりするのに有効な機能である。

 国交省が進めるi-Constractionでは既に、ドローンなどで測量した現場の3Dモデルに沿って建機類を自動制御する仕組みが稼働している。キャタピラーは、これらを「3Dマシンことロール」とし、後付けできるオプションとして提供する。同社はオプションいした理由を「3D対応の高精度な計測器を新たに搭載するようなもの。標準装備している競合機があるが、価格は倍増する。後付けにすることで3D対応が必要な時だけモジュールを使えば良いし、モジュール化により複数の建機での使い回しが可能になるため」と説明する。

 IoT対応の標準装備に加え、新たな車両情報管理システム「MY.CAY.COM」の提供も始めた。建機から集めた情報を、建機の利用企業が参照するための仕組みで、情報共有ポータルの1種で、企業が保有する建機の情報を一元管理できる。無償で利用できるが、建機からのデータの転送は1日1回である。

 これまでは、より詳細な情報を参照・管理するための仕組みである「VisionLink」を提供してきた。今回、Vision Linkもバージョンアップし「Vision Link Unified Suite」とした。種々のデータを一元的に参照できるダッシュボード機能や、モバイル環境からの操作などを可能にしている。

 製品/サービスのデジタル化に併せ、研修/サポート拠点「秩父ビジターセンター」を「D-Tech Center」に改変した。デジタルテクノロジーを使った施工を推進するために、専任の担当者「ICTインストラクター」を配置し、顧客企業へのサポートや人材育成に取り組むという。

 日本キャタピラー矢口 教 社長は、「製品やテクノロジーによる差別化は困難になってきている。デジタルテクノロジーも将来は標準装備になるだろうが、先行して対応することで、現場の生産性や効率を高め、安全を確保に貢献していく」と、デジタル化の意味を語った。

 なおCat320には、燃費優先の「Cat320GC」と生産性優先の「Cat323」もある。工場渡し価格は、320GCが2167万6000円(税別、以下同)、320が2197万6500円、323が2534万8500円である。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名キャタピラージャパン/日本キャタピラー
業種製造
地域東京、兵庫
課題少子高齢化に伴う種々の課題を抱える建築施工現場の課題解決において、デジタルテクノロジーの装着が遅れていた
解決の仕組み主力機種にIoTデータなどを活用して自動制御などを実現する仕組みを標準装備とし、国交省が進める「i-Constraction」へ取り組むためのハードルを下げた。同時に、蓄積したデータを経営に生かすための情報ポータルサービス「MY.CAY.COM」を提供する。
推進母体/体制キャタピラージャパンおよび日本キャタピラー
活用しているデータ建機から取得する稼働状況を示す各種データと,位置情報など
採用している製品/サービス/技術独自に開発するセンシング/制御技術と、情報ポータルサイト。より高度な情報活用においては、衛星を使ったデータ転送技術などを持つ米Trimbleと組んでいる:
稼働時期2017年10月1日