- UseCase
- 金融・保険
東京海上日動、外航貨物の保険金支払い業務のブロックチェーンによる効率化を実証実験
東京海上日動火災保険は、海外に送る外航貨物に掛ける保険金の支払い業務をブロックチェーンの技術を使って効率化を図るための実証実験を2017年11月から開始する。事故が発生した際の保険金の請求から受け取りまでに掛かる時間の短縮を目指す。同社とシステム構築を担当するNTTデータが2017年10月31日に発表した。
外航貨物には、その荷物の価値に応じた保険が掛けられている。万が一、事故が発生すれば、保険会社が提携する「海外クレーム代理店」が保険金請求の受領から代金支払いまでの様々な手続きを代行する。
海外クレーム代理店は請求手続きにおいて多様な書類を取り扱う。保険証券や、事故報告書、送り状(Invoice)、貨物の損傷度合いを示す写真などだ。いずれも紙ベースのため、郵便などで取り寄せるにも時間と費用がかかる。一方で保険契約を結んだ保険会社とは、保証内容をメールなどで確認する必要もある。保険金の請求から代金支払いまでの期間は結局、海外クレーム代理店がミスすることなく、いかに効率良く業務を進められるかどうかにかかっている。
今回の実証実験では、手続きに必要な書類をコンピューターが処理できるデータにし、プロックチェーンを使ったネットワーク上で流通させる。関係者が、このネットワークに参加すれば、書類の取り寄せ時間が短縮でき、書類上のミスも軽減できると期待する(図1)。文字データだけでなく、貨物の損傷度合いを示す写真などのデータもブロックチェーンで流通させる方法も検討する。
東京海上日動とNTTデータは、外航貨物保険に関わる各事業者に実証実験への参加・協力を求め、実証した技術の実用化を目指す。実証実験の終了時期は未定である。
なお今回の実験は、両者が2016年12月から2017年4月にかけて実施していた保険証券へのブロックチェーン技術適用に向けた実証実験に続く第2弾になる。前回の実証実験では主に、ブロックチェーンを利用した保険証券のデータ化を対象にしていた。
企業/組織名 | 東京海上日動火災保険 |
業種 | 金融・保険 |
地域 | 東京都千代田区 |
課題 | 海外向け貨物に事故が発生した際に、保険金の請求から支払いまでに必要な書類が多く、その収集や処理に時間がかかっていた |
推進母体/体制 | 東京海上日動火災保険、NTTデータ |
活用しているデータ | 保険証券や事故報告書、送り状といった各種文書、貨物の損傷度合いを示す写真など |
採用している製品/サービス/技術 | ブロックチェーン技術を使い保険業務に携わる関係者全員がアクセスし情報共有ができるプラットフォーム |
稼働時期 | 2017年11月から |