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東京都、オリンピックに向けロボットによる観光客案内を実証実験

DIGITAL X 編集部
2017年11月13日

東京都は、観光客への案内にロボットを使う実証実験を2017年11月13日から開始する。2020年の東京オリンピック/パラリンピックを睨んだもの。ロボットには5社が提供するロボットを交代で使用する。東京都とロボットメーカー各社が11月2日に発表した。

 2020年の東京オリンピック/パラリンピックに向けては、海外から多数の観光客の来訪を期待する。そのため多言語での観光案内が必要になる。ボランティアスタッフなども確保する予定だが、多言語対応できるロボットも活用する方針である。実証実験では、会話、あるいはタブレット/サイネージへの表示などにより多国語で案内できるロボット5種類を、都庁の第一本庁舎に設置し、来訪客を案内する様子を検証する。

 実験に使用するロボットは、(1)ハタプロが開発した「ZUKKU」、(2)富士通の「ロボピン」、(3)日立製作所の「EMIEW(エミュー)3」、(4)都立産業技術研究センターが開発した「Libra(リブラ)」、(5)NTT東日本の「Sota」の5機種(実証実験順)である(図1)。

図1:実験に使用する5種類のロボット。左から、ハタプロの「ZUKKU」、富士通の「ロボピン」、日立製作所の「EMIEW(エミュー)3」、都立産業技術研究センターの「Libra(リブラ)」、NTT東日本の「Sota」

 ZUKKUは、高さ10cm程度の小型ロボット。内蔵カメラで、目の前に立っている人の性別や年齢などの特性を分析し、結果に応じた案内を併設のデジタルサイネージに表示する。特性分析にはIBMの「Watson」を使っている。ZUKKUが登場する期間は、11月13日~14日、11月下旬、2018年2月中旬。第一本庁舎2階に設置する。

 ロボピンは、多言語に対応した音声認識機能を持つロボット。質問などの内容を理解し応答する。プロジェクターやタブレット端末を併設し、来客に庁舎内や観光地の地図などを提示し、的確に案内できるかを検証する。登場する期間は、11月15日~24日、2018年1月下旬、2018年2月下旬。第一本庁舎2階に設置する。

 EMIEW 3は、多言語で対話し、時速6kmほどの速度で移動しながら来訪者を案内するロボット。最大15ミリメートル程度の段差まで乗り越えられ、転倒しても自身の力で起き上がる。登場期間は、12月中旬と、2018年2月中旬。1回目は第一本庁舎2階に、2回目は第一本庁舎南側展望室に設置する。

 Libraは、話しかけると動作を開始するロボット。会話や本体上部に搭載しているタブレットへのタッチ操作でロボットに人の意志を伝える。本体底部には車輪があり、必要に応じて来客を先導して案内する。登場期間は、1回目が2018年1月中旬、2回目が1月下旬、3回目は2月下旬。1回目と2回目は第一本庁舎南側展望室に、3回目は第一本庁舎2階に設置する。

 Sotaは、併設するタブレット操作により、利用者に合わせた言語で情報を表示するロボット。話しかけることで言語を識別したり、情報を検索したりが可能で、検索結果は音声で読み上げる。登場期間は、2018年2月上旬の1回のみ。第一本庁舎2階に設置する。

 なおロボットによる観光案内は、オリンピック/パラリンピック後も有用な資産として活用する計画である。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名東京都
業種公共
地域東京都新宿区
課題来日外国人を、相手の母国語で案内できる人材の確保が困難
解決の仕組み多言語での応答が可能なロボットの活用
推進母体/体制東京都、ハタプロ、富士通、日立製作所、東京都立産業技術研究センター、東日本電信電話、
活用しているデータ会話データや相手の外見の画像など
採用している製品/サービス/技術 多言語対応ロボットの「ZUKKU」(ハタプロ製)、「ロボピン」(富士通製)、「EMIEW(エミュー)3」(日立製作所製)、「Libra(リブラ)」(都立産業技術研究センター製)、「Sota」(NTT東日本製)の5機種
稼働時期2017年11月13日~2018年2月下旬