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納品した機械のダウンタイムを削減、充填包装機械大手テトラパックにおけるデータ分析の軌跡

冨永 裕子(ITアナリスト/コンサルタント)
2017年11月14日

スウェーデンに本社を置くテトラパックは、食品メーカーが利用する食品加工機械や紙の容器への充填包装機械を全世界に提供するメーカーである。日本でも、牛乳やジュースなどの紙パック容器で馴染みがある存在だ。同社は今、客先に収めた機械から得られるデータを分析することで、機械のダウンタイムを削減し、顧客の満足度向上に取り組んでいる。2007年に基本構想を練り始めた取り組みは今も成長が続いている。

 テトラパックの主要顧客は飲料メーカーなどである。機械が正常に作動するのは当然で、飲料を100%安全に容器に入れないといけない。紙パックへの飲料の充填には、大型機械が使われており、部品も高価である。ある部品が壊れると、それを交換するまで機械が使えず、商品が作れない。

 さらに、テトラパックの顧客は世界中に存在する。遠隔地の顧客では、部品の交換に時間がかかることもある。牛乳やジュースの製造過程での安全性を担保しながら、オペレーション効率を高めることが、テトラパックにとって最大の経営テーマなのだ。

 そのテトラパックは2017年、データサイエンスをテコに全社を横断的にサポートする組織として「CoE(Center of Excellence)」を設立した。データサイエンスとアナリティクスの両機能を集約し、顧客に提供できる価値の最大化を図る。

 CoEが扱うデータは、客先に納品した機械から得られるセンシングデータである。テトラパックは、機械の稼働状況をモニタリングし、分析結果を提供するサービスを展開している。同サービスにより顧客は、機器のダウンタイム削減や、原材料の廃棄などを抑えられる。同社が示す成功事例によれば、地域が異なる乳飲料メーカー3社において、シャフトやベルト、ベアリングなど、摩耗や劣化した部品は異なるものの、2万5000〜12万ユーロの節減効果を挙げている(図1)。

図1:テトラパックのモニタリングサービスによって顧客が得られたビジネス成果の例

 テトラパックが自社製品のモニタリングに取り組み始めたのは2007年にまでさかのぼる。そこから2017年のCoE設置までの経緯を、同社Advanced Analytics部門マネージャーのDaniel Sandberg氏が、米アナハイムで10月21日から26日にかけて開かれた「Teradata PARTNERS Conference 2017」のブレイクアウトセッション「Predicting Aircraft Health」に登壇し説明した。センシングとアナリティクスによって顧客の課題解決を図るテトラパックの取り組みを紹介する。

 2007年、テトラパックがまず考えたのは、「どの部品が故障しそうかが事前にわかれば、機械のダウンタイムが減り、原材料やパッケージ資材の廃棄ロスや無駄が省ける」(Sandberg氏)ということだった。

機械に680個のセンサーを取り付けデータを収集

 そこでまず、基本構想を策定し、顧客が導入した機械のダウンタイムを削減するのに、どんな解決方法を提示できるかを検討した。「顧客が苦情を言う要因はどこにあるか」「どこが機械の動作に重要か」「どの機能を監視するべきか」といったことを明確にするため、主力機種の1つである「Tetra Pak A3 Flex 」では、680カ所にセンサーを付けた(図2)。

図2:機能をモニタリングするために多数のセンサーを取り付けた。図はTetra Pak A3 Flexの場合