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カナダのオンタリオ州、自動運転の実証用に現実に近い実験地区を開設

DIGITAL X 編集部
2017年12月4日

カナダのオンタリオ州は、自動運転車の開発に利用できる実験地区を開設した。実際の交通状況を想定した試験走行が可能な環境を用意するのが特徴で、テストコースのような人工的な環境では得られない実験が可能になる。2017年11月8日に開設式を現地で開いている。

 実証実験地区となるのは、オンタリオ州のストラットフォード市に開設した「AVIN Demonstration Zone」。実際の道路で発生しうる状況を想定した試験走行ができるようにしたのが特徴で、カナダでは初めての試みにある。同州は、公道での自動運転車の運転試験もカナダで最初に許可している。2017年7月31日には、2台の自動運転の実験車が、米ミシガン州からオンタリオ州までの公道80キロメートルを走行している。

 AVIN Demonstration Zoneの開設は、「自動運転車イノベーション・ネットワーク(AVIN:Autonomous Vehicle Innovation Network)」の一環。AVINでは、Demonstration Zoneのほかに、「研究開発パートナーシップ基金」「人材開発プログラム」「セントラル・ハブ」などの活動を予定している。AVINの推進を目的に、オンタリオ州は州政府予算から5年間で合計8000万カナダドル(約72億円:1カナダドル=90円で換算)を投資する。

 開設式典にはオンタリオ州のKathleen Wynne首相も出席した(図1)。開催式典で Wynne首相は次のように語り、同州の主要産業である自動車産業を強く支援していく意向を示している。

 「自動運転技術は信じられない勢いで発展しています。近い将来、自動運転車がオンタリオ州だけでなく世界中で走り始めることに疑いの余地はありません。そして今、オンタリオ州が、この革命を牽引する世界的リーダーになるチャンスがあります。オンタリオ州の自動車産業への投資を促進し、学術研究機関と産業界の協力関係をより強固なものにし、州内の才能ある人材を動員して、自動車産業の次世代技術の開発を支援していきます」

図1:開催式典で演壇に立つKathleen Wynneオンタリオ州首相

 オンタリオ州が自動運転車の開発に巨額を投資するのは、オンタリオ州が北米最大の自動車製造拠点であるため。同州には現在、米GM(General Motors)や、Fiat Chrysler Automobiles、トヨタ自動車、本田技研工業が自動車の組み立て工場を置いている。実証実験地区は、これら自動車メーカーだけでなく、部品メーカーや大学の研究者も利用できる。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名カナダ・オンタリオ州
業種公共
地域オンタリオ州ストラットフォード市
課題実際に起こりうる交通状況を想定して、自動運転車の試験を実施する場所がなかった
解決の仕組みストラットフォード市の一部区域を実証実験地区に指定した
推進母体/体制カナダ・オンタリオ州
活用しているデータ不明
採用している製品/サービス/技術不明
稼働時期2017年11月8日
コスト「自動運転車イノベーション・ネットワーク(AVIN:Autonomous Vehicle Innovation Network)」全体として州政府予算から5年間で合計8000万カナダドル(約72億円:1カナダドル=90円で換算)を投資