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川崎重工、航空機用部品の所在と進捗の管理にRFIDシステムを導入

DIGITAL X 編集部
2017年12月8日

川崎重工 航空宇宙カンパニーは、航空機の製造ラインにRFID(ICタグ)システムを導入し、部品の所在管理と生産の進捗管理に利用し始めた。工場全体をカバーできるシステムにすることで、従来は難しかった部品の所在を正確に把握できるようになった。システムを納入した日本IBMが2017年11月20日に発表した。

 RFIDシステムを導入したのは、川崎重工 航空宇宙カンパニーの岐阜工場(岐阜県各務原市)。主に航空自衛隊向けの軍用機と宇宙関連機器を製造するための工場だ。同工場において、航空機の胴体パネルを製造するラインにRFIDシステムを適用した。

 部品の所在を正確に管理するために、工場内に多数のアンテナを設置し、部品に貼り付けたRFIDタグからデータを収集する。部品の位置は、タグに電力を供給する「送信機」の位置座標、受信した電波の強度、電波の入射角から測定する。

 採用した受信機は、1台で最大2万5000平方メートルの空間をカバーする。タグを付けた部品や人を200m以上離れた場所から感知できる。これにより、部品の現在位置のほか、工場内での人の動き、運搬中の部品の動きなどもリアルタイムに把握する。

 川崎重工の航空宇宙カンパニーはこれまでに、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)技術を導入し、情報活用基盤の開発を続けてきた。生産計画の実行や生産管理、進捗管理をより厳密にするためだ。この活動の一環として、部品などの所在管理に適した技術を探していた。

 部品などの所在管理では、位置情報の正確かつ確実な把握のほか、システムを安価かつ柔軟に拡張できること、電波の干渉が発生しないことなどの条件を挙げていた。これら条件を満たせるとして採用したのは、米Mojix製の「Mojix STAR System」で、日本では日本IBMが独占的に販売している。

動画:「Mojix STAR System」の概要

 Mojix STAR Systemは、信号の受信機と、タグに電力を供給する送信機を分離することで、1台の受信機で広い範囲をカバーするのが特徴。一般的なRFIDシステムは、受信機と送信機が一体になっている。Mojix STAR Systemでは、システム拡張時は送信機を1台単位で増設すればよい。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名川崎重工 航空宇宙カンパニー
業種製造
地域岐阜県各務原市
課題生産計画の実行や生産管理、進捗管理をより厳密にするために、広い工場内で、航空機用部品の所在を正確に把握する必要があった
解決の仕組み工場全体をカバーできるRFIDシステムを導入
推進母体/体制川崎重工 航空宇宙カンパニー、日本IBM
活用しているデータ部品の所在を示すデータ、生産進捗を示すデータ
採用している製品/サービス/技術RFIDシステム「Mojix STAR System」(米Mojix製)
稼働時期2017年11月1日