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デンソー、スピードメーターなどの液晶表示に向け複数ディスプレーを制御する仕組みをCES2018に展示
デンソーは、自動車の運転席に複数の液晶ディスプレー搭載し、スピードメーターなどを表示できるようにする仕組みを、2018年1月9日から米ラスベガスで開催中の展示会「CES2018」に展示した。単一プロセサで制御できるよう仮想化ソフトウェアを利用したのが特徴で、カナダのBlackBerryと共同開発した。開発自体は2017年12月14日に発表している。
デンソーが展示するのは、複数の液晶ディスプレーを単一プロセサで制御するための仕組み。仮想化ソフトウェアを使用することで、独立したマシン環境を複数用意し、それぞれでディスプレイを制御するための基本ソフトウェア(OS)を動作させる(図1)。2019年以降、実際の車両に搭載されるという。
自動車の運転席に搭載するディスプレーといえば、現状はカーナビの液晶ディスプレイ程度だが、今後は複数の液晶ディスプレーが搭載されていく。既にスピードメーターやタコメーターを液晶ディスプレイを使って表示する車種が登場しているほか、安全運転の支援機能の高度化で、走行車両の周囲の情報やドライバーの状況に応じた警告など、ディスプレーに表示すべき項目が増えているためだ。フロントガラスに情報を投影するヘッドアップディスプレー(HUD)も搭載されていく。
ただし、重要な情報を運転手が見やすいところに表示するには、複数のディスプレーを連携し、最適な表示場所に切り替える必要がある。ただ、現状のディスプレーは、それぞれの用途に最適化されており、異なるプロセサとOSが制御している。たとえば、走行速度やエンジンの回転数、冷却水の温度など、クルマの安全に関する情報を表示するディスプレーは高い信頼性が求められる。一方で、カーナビやインターネットから取得した情報などを表示するディスプレーは最新技術に対応する必要がある。
新しい仕組みでは、性格が異なる基本ソフトウェアが独立して仮想マシン上で動作させ、必要に応じて複数の基本ソフトウェアを連携させる。これにより、ドライバーに必要な情報を適切なタイミングで適切なディスプレイに表示する。たとえば、各種メーターを表示するディスプレーとカーナビ情報を表示するディスプレーを連携させて、2画面にまたがるアニメーションを表示したり、メーター用ディスプレイにナビゲーション情報の一部を表示できる。
仮想化ソフトウェアには、加BlackBerryの「QNX Hypervisor」を採用。プロセサには米Intelが自動車向けに開発した「Atom Processor A3900 Series」を採用している。