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ヤマト運輸、ローカル鉄道で貨物を運ぶ「客貨混載」を和歌山市で開始へ

DIGITAL X 編集部
2018年2月14日

ヤマト運輸は、ローカル鉄道に貨物を載せて運搬する「客貨混載」を和歌山市で2018年2月16日から開始する。トラックによる配送では効率が悪い地域の最寄り駅までまとめて貨物を運び、最寄り駅からは自転車で配送する。2018年2月5日に発表した。

 ヤマト運輸が「客貨混載」を始めるのは、和歌山電鐵貴志川線(図1)。「田中口」駅から「神前」駅の区間で客貨混載を実施する。

図1:和歌山電鐵貴志川線の車両

 貴志川線は、過疎化と沿線住民の高齢化で乗客数が減少している。「乗って楽しい電車」を目指して車両を改装したりイベントを開催して、観光客の呼び込みに取り組んで、収入を得て路線維持に充てている。一方、ヤマト運輸にとって神崎駅近くの地域は住宅が密集しており、トラック配送では業務効率が落ちるという問題を抱えている。

 今回の客貨混載では、ヤマト運輸の和歌山太田センターで貨物を集配コンテナに詰め込み、田中口駅を毎日7時15分に発車する電車に乗せる(図2)。列車には社員も同乗し、コンテナを列車に固定する。神前駅に7時21分に到着したら、同乗している社員がコンテナを降ろし、住宅が密集する神崎地区に向かう。電動アシスト付き自転車に集配コンテナを連結して集配する。

図2:和歌山電鐵貴志川線を利用した客貨混載の流れ

 鉄道を使った客貨混載によりヤマト運輸は、住宅密集地域にトラックを乗り入れることなく、自転車で効率良く配送できるほか、配達開始時間がこれまでの午前10時から午前8時に繰り上げられるため、貨物をより早く届けられる。トラックを使わないため、燃料費やCO2排出量の削減にもつながるとしている。

 和歌山電鐵は、貨物を列車で運ぶことが新たな収入源になる。地域住民の”貴重な足”である路線を維持し、地域住民の生活基盤を保ちたい考えだ。

 なおヤマト運輸は、愛知県豊田市で乗り合いバスを使った客貨混載を2018年1月26日から開始している(関連記事)。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名ヤマト運輸、和歌山電鐵
業種物流
地域和歌山市
課題住宅が密集している地域への配送では、トラックを使うと業務効率が落ちてしまう
解決の仕組み住宅密集地域に向かう列車に貨物をまとめて載せ、目的地近くの駅で下ろし、配送先には自転車で届ける
推進母体/体制ヤマト運輸、和歌山電鐵
採用している製品/サービス/技術貨物コンテナを固定できる列車
稼働時期2018年2月16日から