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外来種の果実の国内育成に向けたセンサーデータの管理システム、ケイ・オプティコムらが実証実験

DIGITAL X 編集部
2018年4月27日

海外原産で、日本ではなかなか流通しない果実を日本で育成できるようにするためのシステムの開発に、農業IoTなどを手がけるケイ・オプティコムらが乗り出した。センサーを活用し、育成方法などを見いだすための実証実験を2018年4月16日から始めている。

 ケイ・オプティコムが目指すのは、農業にIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の技術を取り入れることで、国内では栽培ノウハウがない外来種の果物などを確実に育成させるためのシステムの開発だ。

 外来種の育成は、苗の育成と、成長した苗を農地に植え替えてからの栽培の2段階で実施する。今回、開発を目指すのは、最初の苗の育成のためのシステムである。苗を育てる育苗棟に、照度や温湿度、電気伝導度(EC)といったセンサーを設置し、栽培環境を監視しながら、育成に適した条件を維持する。苗には電気的刺激を与えたり、水中の溶存酸素濃度を調節するなどの手法で、より多く、より早く収穫できることを狙う(図1)。

図1:センサーで環境を管理した育苗質で苗を育てる

 実証実験ではまず、パイナップルハンレイシとフィンガーライム、バナナ、パパイヤ、バーベナ、ミニチュアドラゴン、マンゴーといった果物も対象にする(図2)。ほかにも、ジャックフルーツ、龍眼、マンゴスチン、ライチ、きゅうりメロンも育成する予定である。これらの果物は、その育成に日本の気候が適さず栽培が難しい。また海外から輸入すると、輸送時の品質保持が難しい果物の場合は、日本ではなかなか流通していない。

図2:パイナップルバンレイシ(左)と、フィンガーライム(右)

 実証実験は大阪府八尾市で2018年4月16日に開始した。各種センサーとLPWA(LoRaWAN)通信機、蓄積したデータを視覚化するソフトウェアなどはケイ・オプティコムが開発。促成栽培用機器はアクトウォーターフォーラムが、育成用の苗はシリアスが、それぞえ準備する。

 実験は2019年3月までの予定で、そこから得られるデータや知見を元にケイ・オプティコムは、育苗棟内の環境を自動的に制御する方法を確立し、国内での育成経験がない農作物を、誰もが簡単に育成できる促成栽培システムの実現を目指すとしている。