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AOI国際病院、歯科におけるX線診断をサポートするAIを開発

DIGITAL X 編集部
2018年7月6日

AOI国際病院を運営する医療法人社団の葵会は、歯科のX線診断において患部を検出するAI(人工知能)システムを開発した。医師による画像診断より高速で、見逃しなども排除できるという。AOI国際病院の総合研究センターと医療分野の画像処理を手がけるメディホームが共同で開発した。2018年6月13日に発表した。

 AOI(エーオーアイ)国際病院(旧川崎南部病院)は、川崎市川崎区にある総合病院。高度治療や地域連携医療などを手がけている。今回、歯科での治療において、初診時にほとんどの患者が撮影する「歯科パノラマX線画像」から患部を検出するためのAI(人工知能)システムを開発した。

 新システムは、患者のX線画像を機械学習で分析し、患部の位置と大きさを検出する。まずは「う蝕(虫歯)」「根尖病巣」の検出に対応した(図1)。今後は「歯石」「嚢胞」「根分岐部病変」にも順次対応していく予定である。

図1:歯科パノラマX線画像から機械学習で病変の位置と大きさを検出する

 X線画像の読影では歯科医師の経験などによって診断結果に差が生じることがある。またX線画像の読影と診断にはベテラン歯科医師でも平均120秒かかるのに対し、AIシステムは画像1枚当たり0.018秒程度で診断が完了するという。今後は、歯科医師による診断と、AIシステムによる検出のダブルチェックをかけることで、より正確かつ、より素早く患部を特定することで「医療の標準化」を目指す。

 AI分析システムは、AOI国際病院総合研究センターと医療分野の画像処理に強いメディホームが共同で開発した。2018年3月に共同開発プロジェクトを立ち上げていた。

 機械学習においては、教師データとして、患者のX線画像、約1万2000枚と病変患部、約2万5000点を用意した。メディホームが機械学習システムを開発し、AOI国際病院 歯科口腔外科の田島 聖士 医師を中心とするチームが読影と検証を担当した。

 今後は、機械学習の精度を高めていくと共に、歯科X線システムや電子カルテシステムとの連携なども図りたい考えだ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名医療法人社団葵会のAOI国際病院
業種医療・健康
地域川崎市川崎区
課題歯科における初診時の診断において、X線画像による診断は医師の経験などによって結果やかかる時間がばらついていた
解決の仕組みX線画像を機械学習で分析し、患部の位置と大きさを特定することで医師とのダブルチェック体制を確立する
推進母体/体制AOI国際病院総合研究センター、メディホーム
活用しているデータ患者の歯科パノラマX線画像、過去の患者のパノラマX戦画像、約1万2000枚など
採用している製品/サービス/技術機械学習による画像解析システム(メディホーム製)
稼働時期2018年6月1日