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独Audi、自動車部品の試作にフルカラー3Dプリンターを導入

DIGITAL X 編集部
2018年7月4日

ドイツの自動車大手Audiは、部品の試作にフルカラーの3Dプリンターを導入した。複数の素材と色を組み合わせた部品の試作時間を短縮するのが狙い。3Dプリンターを納入した米Stratasysが2018年6月7日に発表した。

 フルカラーの3Dプリンターを導入したのは、独Audiが本社を置くインゴルシュタット市にある「Pre-Series Center」。量産前の試作車を作成し、新しい車種のデザインとコンセプトを検証するための施設である。

 試作車のためのドアハンドルやフロントグリルなどは、成形や切削加工で作成するため手間と時間がかかるという問題があった。特に、複数の色の部品を組み合わさるテールライトカバーは作成が難しい。検証が長引き、新車種の製品化が遅れる原因になることもあったという。

 そこで今回、フルカラーの3Dプリンターを導入した。複数色の部品からなるテールライトカバーを1度のプリントで作成する(図1)。フルカラー3Dプリンターによるテールライトカバーの作成によりAudiは、試作時間を最大50%短縮できるとみている。

図1:複数の色の素材を使ったテールライトカバーをフルカラー3Dプリンターで作成する

 導入したのは米Stratasys製の「Stratasys J750」(図2)。1度の印刷で、6種類の素材を使い分けながらフルカラーで部品を作成できる。Audiの3Dプリンティングの責任者であるTim Spiering博士は、「デザインは最も重要な購入決定要素の1つなだけに、設計・コンセプトの段階で最高の品質基準を遵守しなければならない。特に透明な部分の3Dプリンティングにおいて、当社の基準を満たす技術は他になかった」としている。

図2:米Stratasysの「Stratasys J750」。 異なる色と6種類の素材の組み合わせに対応できる。

 Audiは2002年にStratasys製3Dプリンター「FDM」を導入。「Audi Plastics 3D Printing Center」という専門部門を置き、24人が所属し、FDMと「PolyJet」を合わせて10台の3Dプリンターを導入してきた。Audiは、3Dプリンティング技術が新しい車種の試作や設計に大きな役割を果たすと考えている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名独Audi
業種製造
地域ドイツ・バイエルン州インゴルシュタット市
課題自動車の試作段階で、設計/コンセプト通りの試作部品の作成に時間とコストがかかる。特に、複数色のパーツを組み合わせるようなみ部品の試作は難しく、新車投入時期に影響することすらあった
解決の仕組みフルカラー対応で異なる素材を同時に使える3Dプリンターを導入し、複数色からなる部品を一度の印刷で作成する
推進母体/体制Audi、米Stratasys
活用しているデータ試作部品の設計データなど
採用している製品/サービス/技術フルカラー、異種素材対応3Dプリンタ「Stratasys J750」(Stratasys製)
稼働時期不明