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産業機器メーカーのシンフォニアテクノロジー、半導体製造関連機器の設計データなどを統合しERPとも連携

DIGITAL X 編集部
2018年7月12日

産業機器メーカーのシンフォニアテクノロジー(旧 神鋼電機)は、クリーンルーム用の搬送機器を製造する豊橋製作所において、設計データや3Dモデル、部品表など、製品関連データの統合管理に着手した。ERP(統合基幹システム)との連携も図る。PLMソフトウェアを納入する米PTCが2018年6月17日に発表した。

 シンフォニアテクノロジー(旧 神鋼電機)は、航空宇宙、鉄道、自動車などの分野に向けた産業機器を開発製造している。今回、半導体を製造するクリーンルーム内でウエハー(円形のシリコンの板)を搬送する「ロードポート」などを開発・製造する豊橋製作所において、設計図や3DモデルなどをPLM(製品ライフサイクル管理)ソフトウェアで統合管理することを決めた。

 半導体製造装置の需要が高まる中、豊橋製作所では既存製品の繰り返し受注が売上高の9割を占めている。豊橋製作所のクリーン搬送機器工場長で執行役員副製作所長の花木 敦司 氏によれば、「半導体分野は過去にないスーパーサイクルに突入しており、繰り返し品への日々の対応と、新規開発案件へのスピーディーな対応の両方が求められている」。設計データの統合管理により、繰り返し品の設計時間を短縮し、新規開発案件へ対応できる体制を確立したい考えだ。

 シンフォニアではこれまで、部品表や設計図面データ、3Dモデルなどを別々に管理していた。そのため設計変更時には、対象データや対象部分を検索するだけで時間と手間がかかっていた。検索が属人的な作業にもなっていた。結果、特定の担当者に検索・変更の業務負荷が集中。変更が必要な部分のすべてを変更しきれず、変更漏れが発生することもあったという。

 PLMの導入により今後は、設計データを統合管理し、どの従業員でも設計データを変更できるようにするほか、関連データも自動的に変更が加わるようにする。

 設計データの統合管理に向けたPLMソフトウェアの導入は、スモールスタートで着手し2018年3月に検証を済ませた。多機種への水平展開とデータのクレンジング作業を進め、2018年10月には独SAP製のERPシステムとの接続を予定している。その後は、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)技術による生産データの活用や、フィールドサービスへのAR(Augmented Reality:拡張現実)の適用などに取り組む計画だ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名シンフォニアテクノロジー
業種製造
地域東京都港区
課題部品表や設計図面と3Dモデルの関連付けができておらず、その管理・検索がが属人的な作業になり、変更したいデータの検索に時間がかかったり、必要なデータ変更が徹底できなかったりした。従業員への業務負荷が偏り配置換えなど流動性の確保が難しかった。
解決の仕組みPLM(製品ライフサイクル管理)ソフトウェアを導入し設計データや3Dモデル、部品表などのデータを統合管理する
推進母体/体制シンフォニアテクノロジー、米PTC
活用しているデータ製品の設計データ、3Dモデル、部品表など
採用している製品/サービス/技術製品ライフサイクル管理ソフトウェア「Windchill」(米PTC製)
稼働時期2018年3月に一部製品から稼働