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EVベンチャーの米Faraday Future、コネクテッドカーのためのPKIシステムを導入
EV(電気自動車)を開発するベンチャー企業の米Faraday Futureは、2018年内の出荷開始を予定しているEVの通信環境におけるセキュリティを確保するためにPKI(公開鍵インフラ)システムを導入する。システムを提供する蘭Gemaltoが2018年6月21日に発表した。
米Faraday FutureはEV(電気自動車)の開発に向けて2014年4月に創立されたベンチャー企業。当初は、EVによるフォーミュラーカーレース「Formula E」に向けた車両開発に参加したり、レース用EVのコンセプトモデル「FFZERO1 Concept」を発表したりしてきた。2017年1月に一般販売に向けたEV「FF 91」を発表し、2018年内の発売を予定している(図1)。
FF 91は、通信機能を持つ”コネクテッドカー”として開発されており、ソフトウェアのアップデートによる各種機能の追加などを予定している。そのため、ハッキングなどに対抗するセキュリティ機能を搭載が不可欠になる。
そこで、FF 91のセキュリティ機能として、EVが送受信する無線通信のすべてを、公開鍵暗号を利用した暗号通信にすることを決定。公開鍵が真正であることを証明するデジタル証明書と、公開鍵を管理するためのPKI(Public Key Infrastructure:公開鍵インフラ)を構築するための専用ハードウェアを導入する。
PKIシステムを構築することで、EVだけでなく、他の車両や、駐車場、パーキングメーターといった社会インフラとやり取りするデータも保護できるほか、なりすましによるEV車両へのアクセスも不可能にできるとしている。
導入するのは蘭Gemaltoが開発・販売する「SafeNet HSM」。暗号鍵の生成から配布、保管、失効まで、暗号鍵のライフサイクルを管理する。ハードウェア本体は開封ができず、物理的に分解して暗号鍵を盗み出すことも不可能だとしている。データ暗号化専用プロセッサを搭載することで、暗号化処理の高速化を図っている。
企業/組織名 | 米Faraday Future |
業種 | 製造 |
地域 | 米カリフォルニア州ロサンゼルス |
課題 | コネクテッドカーにおける通信セキュリティを守りたい |
解決の仕組み | 車両が送受信する無線通信を公開鍵暗号を利用した暗号通信で保護。デジタル証明書と公開鍵を管理するPKIに専用ハードウェアを導入し、鍵を厳密に管理する |
推進母体/体制 | Faraday Future、蘭Gemalto |
活用しているデータ | 暗号鍵、デジタル証明書など |
採用している製品/サービス/技術 | 暗号鍵管理専用ハードウェア「SafeNet HSM」(Gemalto製) |
稼働時期 | 専用ハードウェアを搭載するEV「FF 91」を2018年内に市販する予定 |