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スマートフットウェア開発のno new folk studio、LPWA対応センサーモジュールの通信機能を検証

DIGITAL X 編集部
2018年7月18日

歩行などの動きをセンシングできる「スマートフットウェア」を開発するベンチャー企業、no new folk studio(nnf)は、LPWA(Low Power Wide Area)通信に対応したセンサーモジュールが、最長2kmほどのコースで安定したデータ通信が可能なことを検証し確認した。検証に協力したハタプロ、グリーンハウス、ミライトが2018年6月19日に発表している。

 no new folk studio(nnf)が「Orphe」ブランドで開発する「スマートフットウェア」とは、動きに合わせて点灯するLEDや、モーションセンサー、無線通信機能などを備えた靴のこと。これらの機能のうち、各種センサーと無線通信機能を小型モジュールとして切り出しのが「ORPHE CORE」だ(図1)。ORPHE COREを内蔵した靴を履けば、時間あたりの歩数や歩幅、足首の回転といったデータが収集できる。

図1:スマートフットウェア用センサーモジュール「ORPHE CORE」(左)。専用シューズに仕込んで使用する(右)

 ORPHE COREはこれまで、無線通信機能としてはBluetooth LE(Low Energy)にしか対応しておらず、センサーで取得したデータは、Bluetooth LE出接続したスマートフォンやPCなどに転送していた。そこからインターネットなどを経由して、データセンターやクラウドに送信する必要があった。

 今回、ORPHE COREに対し、LPWA(Low Power Wide Area)に対応した新モジュールを試作した。公衆LoRaWANネットワーク経由で、取得データをデータセンターなどに直接送信できることになる。

 新モジュールの機能を2018年5月、東京都江東区の豊洲駅を中心とした長さ2km程度のコースで検証した。結果、安定したデータ通信が可能なことを確認した。新モジュールは、きょう体の強度や、モジュール装着時の履き心地なども課題だったが、10kmを歩行しても、きょう体が損傷することはなく、履き心地も通常の靴との違いは感じられなかったという。

 検証したモジュールは、IoT関連機器などを開発・製造するハタプロの「39Meister」チームと、グリーンハウスが開発。通信エンジニアリング事業者のミライトが提供する公衆LoRaWAN経由でデータをやり取りした。39Meisterは、ハタプロとNTTドコモによるジョイントベンチャー事業で、IoTモジュールなどの企画から量産などを請け負っている。

 今回実験に参加した各社は今後、スマートフットウェアをランニングに限らず、各種スポーツやヘルスケアなどの用途に応用するための通信ネットワークの整備やサービスの開発・提供に取り組むとともに、スマートフットウェアで取得したデータを蓄積・研究することで、自治体や保険業に向けた健康データ提供などのサービスも展開するとしている。

 なおnnfは2018年の「CES」において、ORPHE COREを使ったデータ活用プラットフォーム「ORPHE TRACK」を発表している。COREによるデータ収集と、そのデータを分析するAI(人工知能)サービス、および靴メーカーとの協業によるCOREを組み込んだ靴の製品化からなる。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名no new folk studio
業種製造
地域東京都千代田区
課題スマートフットウェアが計測したデータを、PCやスマートフォンを経由させることなく、運動状態を解析するシステムに送信したい
解決の仕組みセンサーモジュールをLoRaWAN通信に対応させる
推進母体/体制no new folk studio、ハタプロ、グリーンハウス、ミライト
活用しているデータ走行時の歩数、歩幅、足首の回転などのデータ
採用している製品/サービス/技術LoRaWAN通信モジュール(ハタプロ、グリーンハウスが開発)、LoRaWAN通信環境(ミライトが提供)
稼働時期2018年5月