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JR東日本、「モビリティ変革コンソーシアム」で8種の実証実験を実施

DIGITAL X 編集部
2018年9月25日

東日本旅客鉄道(JR東日本)が2017年9月に設立した「モビリティ変革コンソーシアム」が8種類の実証実験を実施する。MaaS(Mobility as a Service)など、JR東日本が描く、これからの”移動サービス”や駅のあり方などを検証する。JR東日本が2018年9月4日に発表した。

 「モビリティ変革コンソーシアム」は2017年9月5日にJR東日本が設立し、2018年9月時点で、交通事業者や国内外の各種メーカー、大学や研究機関など120超の企業・団体が参加している。

 コンソーシアムはワーキンググループ(WG)として、(1)Door to Door推進 WG、(2)Smart City WG、(3)ロボット活用 WGの3つを置き、それぞれがテーマ別のサブWGを設立して活動している。

 Door to Door推進WGは、駅から目的地、あるいはその反対方向の交通基盤を整備し、出発地から目的地までスムーズな移動の実現を目指し、サブWGは4つある。

 Smart Cityは、街の特性に応じて利用者の移動の機会と目的を作り出し、駅とその周辺の環境を快適にすることで魅力的な街作りをを目指すWGで、8つのサブWGがある。

 ロボット活用は、鉄道設備や施設のメンテナンス、さらには利用者向けサービスなどへのロボットの活用を目指しており、サブWGは6つある。

 今回の実証実験では、Door to Door推進 WGが3種類、Smart City WGが2種類、ロボット活用 WGが3種類の合計8種類を実施する。

Door to Door推進:鉄道に、シェア自転車やタクシー、自動運転バスなどが連携

 Door to Door推進 WGが実施する実証実験の1つは「首都圏における『Ringo Pass』を利用した移動と情報提供の実証」。幹事企業は日立製作所が務める。

 新開発のスマートフォンアプリ「Ringo Pass」に、SuicaのID番号とクレジットカード情報を登録。シェアサイクルやタクシーの予約から決済までがアプリで完了するシステムを作り、駅から目的地(あるいはその逆)の交通手段を容易に利用できる環境構築を検証する(図1)。シェアサイクルを対象とした実証実験は2018年8月30日に開始しており、タクシーについては2018年11月に開始する予定である。

図1:最寄りのシェアサイクルポートや、周囲を走るタクシーを「Ringo Pass」で探して予約、利用終了後はアプリで決済できる

 実証実験には、ドコモ・バイクシェアと国際自動車が協力する。都内9区のシェアサイクルポート約470カ所と、都内23区と武蔵野市、三鷹市を走るタクシー約3600台を利用する。

 2つ目は「Suica認証による交通事業者・デマンド交通・商業施設の連携に関するMaaS実証」。NTTとNTTデータが幹事企業を務める。乗りたいときに呼び出せる「デマンド交通」と、交通事業者、商業施設の3者をSuica認証で連携させMaaS(Mobility as a Service)の実現を目指す。今回はSuica認証とデマンド交通、商業施設の連携を検証する。

 参加者はまず、SuicaのID番号とメールアドレスを駅に設置した専用端末から登録する。専用WebサイトのURLが届けば、同サイトからデマンド交通の行き先などを入力すればで、登録したSuicaでデマンド交通の車両に乗車できる。デマンド交通利用後に、商業施設に設置した読み取り装置にSuicaをタッチすると、割引クーポンなどの情報を取得できる(図2)。

図2:Suica認証を利用したデマンド交通の実証実験の概要

 実験の場はJR桜木町駅、JR関内駅、JR石川町駅のそれぞれ周辺。将来は、鉄道利用後に自動改札を通過したら、そのままデマンド交通や商業施設に連携することを目指すとしている。実験は2018年10月から開始する予定。

 3つ目は「JR東日本管内のBRT(Bus Rapid Transit:バス高速輸送システム)におけるバス自動運転の技術実証」。先進モビリティが幹事を務める。BRTは、バス専用道路を利用して高速移動ができるバス路線。今回は岩手県陸前高田市の「竹駒駅」近くを走るBRT専用道(約400m)で自動運転機能を持たせた中型バスを走らせる(図3)。

図3:バス専用道路で自動運転バスを走行させる

 具体的には、時速40kmでの走行試験や駅ホーム部に合わせた停車試験、単線でのすれ違い試験を実施する。BRT専用道には磁気マーカーを設置し、自動運転バスが走行する際の目印にする。将来は自動運転レベル4を目指す。自動運転バスは一般には公開せず、関係者のみが試乗する。実験は2018年12月から開始する予定。