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福島県、和牛の繁殖を遠隔地から管理する仕組みの実証へ

DIGITAL X 編集部
2018年12月12日

福島県は、和牛の農場を遠隔地から管理する仕組みの実証実験に取り組んでいる。和牛の個体情報を一元管理し、育成状況に応じた対応を可能にする。共同で実験する富士通エフサスが2018年12月5日に発表した。

 福島県が実証するのは、ICTを活用した繁殖和牛の生育管理や遠隔地からの農場管理の実現性など。東日本大震災や、それに伴う原発事故により避難した住民の帰還が進まず、畜産従事者の担い手不足や飼養頭数の減少が進行していることへの対応策として検証する。実証実験は、2018年10月7日から2019年3月31日までの予定で、県内有数の畜産地帯だった阿武隈地域の農場で実施する。

 検証に向け、牛の発情・分娩や、牛の個体を監視する装置などを農場に導入。それぞれの装置と牛の個体情報の連携や、装置から収集したデータの蓄積と分析を可能にする「個体一元管理システム」を構築した(図1)。同システムは、JGAP(食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられる認証)に準拠したチェックシートを装備し、安心・安全な繁殖和牛の飼育を支援する。

図1:和牛農場の遠隔管理に向けた実証実験の全体概要

 発情の監視では、牛に取り付けたセンサーで行動量を収集。それを分析することで、効果的な発情発見や早期の異常検知を可能にする。分娩の監視では、分娩房にモーションカメラを取り付け、分娩房に入った牛の行動を分析・監視し、より正確な分娩予知と、その後の分娩事故などの未然防止を目指す。牛の個体の監視では、遠隔カメラで牛舎全体を監視し、離れた場所からでもモバイル端末などを通じて内部を確認し異常を早期に発見できるようにする。

 実証実験が成功すれば、より正確な発情の発見による繁殖成績の向上や、分娩予知による事故の防止、疾病の早期発見による損耗防止が見込まれる。結果、大規模繁殖農場の経営体の育成や収益性の向上を期待する。スマートフォンやタブレット端末を用いた遠隔地からの農場管理が可能になれば、畜産従事者の負担を軽減でき、担い手の減少傾向にも歯止めをかけられると期待する。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名福島県
業種農林水産
地域福島県・阿武隈地域
課題東日本大震災で避難した住民の帰還が進まず、畜産従事者の担い手不足や飼養頭数の減少が進行している
解決の仕組み牛の発情・分娩の監視や個体を一元管理し、モバイル端末を通じて遠隔管理できるようにする
推進母体/体制福島県、富士通エフサス
活用しているデータ牛の発情・分娩・個体の監視装置から収集したデータ
採用している製品/サービス/技術牛の発情・分娩・個体の監視装置、収集したデータの蓄積や分析などを行う個体一元管理システムなど
稼働時期2018年10月7日から2019年3月31日(予定)まで