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大分大学、防災・減災のための情報活用基盤の構築へ

DIGITAL X 編集部
2018年12月18日

大分大学は、防災・減災のための情報活用基盤を構築し、アジア圏への提供を視野に実証実験を開始した。災害発生時に迅速かつ正確な初動対応をうながす情報の統合・共有・活用を目指す。独SAP日本法人や大分のIT企業ザイナスなどが参加する。2018年12月10日に発表した。

 大分大学などが構築するのは、「防災・減災のための情報活用プラットフォーム(仮称:EDISON)」(図1)。ドローンで空撮した被災地の映像を含む多種多様なデータを統合・分析できるようにする(図1)。2019年4月まで実証実験を行うほか、アジア各国の複合型災害に取り組むために、他大学や組織との連携を強化し、災害対策センターの設立と、その組織的ネットワークの構築を進めるという。

図1:「防災・減災のための情報活用プラットフォーム(仮称:EDISON)」のイメージと活用シーン

 EDISONを活用し実験するのは、大分大学内の共同教育研究施設「減災・復興デザイン教育研究センター(CERD)」。深層学習や機械学習などのAI(人工知能)を用いて災害リスクを評価する。その情報を自治体や関係機関へ提供することで、災害発生時の迅速かつ正確な初動対応を支援する。

 CERDではこれまで、自然災害の調査にドローンを利用し、空撮した動画や画像から被災地の現状や変状を立体的にとらえ、Webサイトで関連情報を速やかに公開してきた。しかし、災害時に必要とされる多種多様なデータは、それぞれの組織が管理し、情報の統合化・共有化が図れていなかった。

 加えて、ドローンやIoT(モノのインターネット)、AIなどの新しい技術によって得られる情報を災害対応に活用する仕組みもなかった。これらの課題に対処するために、EDISONを構築する。

 EDISONの構築には、独SAPの日本法人、大分に本社を置くIT企業のザイナスのほか、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズと米ESRIの日本法人も参画する。レノボ製サーバー「Lenovo ThinkSystem SR950」をベースに、SAPのシステム環境をザイナスが実装する。

 具体的には、データをメモリー上で処理することで高速化を図る「SAP HANA」を中核にデータを統合。それを「SAP Leonardo」と米Googleのクラウド上にある機械学習エンジンを使って分析する。結果は、EsriのGIS(地理情報システム)「ArcGIS」を使って地図上へマッピングしたり3D(3次元)データとして活用する。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名大分大学
業種教育
地域大分市
課題災害時に収集できる多様なデータが異なる組織で管理され、統合化・共有化ができていない。ドローンやIoT、AIなどによって得られる情報を活用できていなかった
解決の仕組み多種多様なデータを統合・分析できる情報活用プラットフォームを構築する
推進母体/体制大分大学、独SAP日本法人、ザイナス、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ、米ESRI日本法人
活用しているデータドローンの空撮映像、災害時のデータ、地図情報など
採用している製品/サービス/技術インメモリープラットフォーム「SAP HANA」(独SAP製)、地理情報システム「ArcGIS」(米Esri製)など
稼働時期2018年12月から2019年4月まで