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CTCと特例子会社、障がい者雇用の創出に向け「ユニバーサル農業」へのIoT活用を実証実験

DIGITAL X 編集部
2018年12月28日

伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)と、その特例子会社「ひなり」が、農業での障がい者雇用を創出する「ユニバーサル農業」にIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)を利用して作業効率を高める実証実験を始めている。CTCが2018年12月13日に発表した。

 CTCと、その特例子会社「ひなり」が取り組むのは、障がい者などの雇用を創出する「ユニバーサル農業」の実現。障がい者や高齢者の社会参画を進め、その効用を農業経営の改善や担い手の育成に活用できるようにする。そのために農作業の一連の工程を分解し、誰にでも作業できる形に切り分ける。

 たとえば、ひなりでは、障がいを持つ社員がサポートマネージャーとともにチームで農家の業務を請け負っている。その際、サポートマネージャーは農家とともに工程を分解し、作業に必要な補助具などとともに作業手順書を準備する。品質、衛生、安全など含めて業務を管理する形態は「ひなりモデル」と呼ばれ、連携する農家の業容拡大に貢献しているという。

 今回、農作業にデジタル技術を適用することで、作業の効率化と、さらなる障害者雇用の創出を目指す。具体的には、静岡県浜松市の生産農家、京丸園が手がける香味野菜「姫みつば」の圃場に、カメラと環境センサーを設置し、日射量・温湿度・水温をリアルタイムに監視する(図1)。事前に設定した異常値を検知すると、モバイル端末などに通知する。

図1:環境センサーを圃場に設置(左)。しきい値を超えるとアラートをモバイル端末に表示する

 姫みつばは、葉の表面上に変色した部分ができる、葉やけが日射量によって発生しやすい。発生の都度、該当箇所を除去する必要がある。実験では、環境センサーなどで得た栽培過程のデータをAI(人工知能)で分析し、葉やけの発生原因や成長状態を把握するとともに、育成に最適な環境を分析・推論する。

 圃場内にはデジタルサイネージも置き、カメラ映像と環境センサーで得たデータを可視化する。気象状況などと併せ、農作業者が意見を交換できる状況を整備する。

 京丸園は、農業と福祉の連携の先駆けとして1997年から障がい者雇用を始め、現在はユニバーサル農園として障がい者24人を雇用している。実験は、2018年10月26日から2019年3月29日まで実施する。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名伊藤忠テクノソリューションズ、ひなり
業種農林水産
地域静岡県浜松市
課題農作業を効率化し、障がい者の仕事を創出したい
解決の仕組み圃場に環境センサーなどを設置し、得られるデータを基に作業できる環境を構築する
推進母体/体制伊藤忠テクノソリューションズ、ひなり、京丸園
活用しているデータ圃場のカメラ映像、センサーで収集した日射量・温湿度・水温のデータなど
採用している製品/サービス/技術カメラ、環境センサー、AI、デジタルサイネージなど
稼働時期2018年10月26日から2019年3月29日まで