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トヨタが配車サービス事業者専用サービスを開発、東南アジアのGrabに提供

DIGITAL X 編集部
2018年12月28日

トヨタ自動車は、配車サービスを手がける事業者を対象に、車両の管理やメンテナンス、保険などを一貫して提供するトータルケアサービスを開発した。東南アジアで配車サービスを手がけるマレーシアのGrabに提供する。2018年12月18日に発表した。

 トヨタ自動車が開発したのは、配車サービス事業者専用のトータルケアサービス。サービス事業者とトヨタの販売店が、共通の情報基盤上で車両データを共有しながら、車両の管理やメンテナンス、保険の付保などを一貫して実施する。

 まずは、マレーシアの配車サービス大手Grabがシンガポールで運営している車両1500台を対象にサービスを提供。東南アジアでのGrabのサービス地域に広げるほか、世界市場への段階的に広げていく計画だ。

 対象車両には通信型ドライブレコーダー「TransLog」を搭載。走行データを、トヨタのコネクティッドカー向け情報基盤「モビリティサービスプラットフォーム(MSPF)」に収集し、そのデータをトヨタとトヨタの販売店、および配車サービス事業者が相互に利用する(図1)。

図1:「モビリティサービスプラットフォーム」を活用したトヨタと配車サービス事業者の協業の概念

 MSPFに集まったデータを基に、各車両のメンテナンスの時期を最適にすることで、配車サービス用車両の非稼働時間の短縮とメンテナンスコストの低減を図る。販売店には、トヨタ生産方式のノウハウを盛り込んだメンテナンスが可能な「ICS(Intensive Care Stall)」を設置する。

 走行中のトラブル発生時には、車両状態を把握したうえでドライバーを支援する。運転挙動を踏まえた各種アドバイスも実施する。保険についても、走行データ連動型の商品を用意し、安全運転の向上と保険料の低減を図る。

 Grabとの協業では、シンガポールのトヨタ販売店「Borneo Motors(Singapore)」にICS設置。トラブル時の対応はGrabのセンター経由で実施する。データ連動型保険は、あいおいニッセイ同和損害保険の現地子会社が提供する。Grabとは、本サービスを段階的に東南アジア全域に広げ、東南アジア地域でGrabが運用する車両におけるトヨタ車の比率を2020年までに25%引き上げることを目指す。Grabは、トヨタ生産方式を、さまざまなオペレーションにも適用する。

 一般に配車サービスに用いる車両は、個人が使用するクルマに比べ、同一期間の走行距離は5倍を超える。車両の状態を良好かつ安全に維持するには、使用状態に応じた適切なタイミングに、適切なメンテナンスが必要になる。

 トヨタは、今回のトータルケアサービスにより、車両メーカーと販売店、配車サービス事業者を密接に連携させ、サービス事業者の効率向上に貢献するとともに、ドライバーや利用者に対し、より安全で高品質な配車サービスの提供を目指すとしている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名トヨタ自動車
業種製造
地域シンガポールほか東南アジア全域。将来的には世界に拡大する
課題配車サービスに用いられる車両を対象にしたサービス体制を確立し、同用途での販売台数を高めたい
解決の仕組み販売店と配車サービス事業者が情報基盤上で車両データを共有し、配車サービス用車両の非稼働時間を短縮するとともに、利用者向けサービスの品質向上を支援する
推進母体/体制トヨタ自動車、マレーシアのGrab、シンガポールのトヨタ販売店「Borneo Motors(Singapore)」、あいおいニッセイ同和損害保険など
活用しているデータドライブレコーダーから得られる走行状況や車両状態に関するデータ
採用している製品/サービス/技術車両データを共有する情報基盤「モビリティサービスプラットフォーム」(トヨタ製)、通信型ドライブレコーダー「TransLog」(トヨタ製)など