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日本ハムがスマート養豚プロジェクトを開始、豚の健康などをAI/IoTで判定

DIGITAL X 編集部
2019年1月4日

日本ハムが、養豚場の生産性向上などを図る「スマート養豚プロジェクト」を開始した。養豚場にIoT(Internet of Things:モノのインターネット)/AI(人工知能)を導入し、これまでの飼育ノウハウを継承するなどし人手不足に対応する。そのためにNTTデータグループと協業する。2018年12月19日に発表した。

 日本ハムの「スマート養豚プロジェクト」は、養豚場の働き方改善を目指すもの。IoT(Internet of Things:モノのインターネット)を使って家畜にとって快適な飼育環境を確立して生産性を高め、労働負荷を軽減し少人数でも飼育できるようにする。併せてAI(人工知能)による画像判定により、経験に頼ってきた飼育ノウハウを継承し、生産性・品質の向上、安定化を図る(図1)。

図1:日本ハムが着手した「スマート養豚プロジェクト」の概要

 日本ハムグループで養豚事業を手がけるインターファームの養豚場へIoT機器の導入を2018年12月に開始した。プロジェクトはNTTデータとNTTデータSBCと共同で進めている。

 IoTでは、複数の豚舎の状況をリアルタイムに把握できるようにする(図2)。カメラや温湿度などの環境センサーを豚舎へ設置し、育成ステージごとの豚の状況や、飼育成績との関連性、人が不在になる時間帯の状況も的確につかむのが目標だ。

図2:養豚管理支援システムの運用イメージ

 カメラは、設置環境を考慮した防水・防塵(じん)対応のものを採用。環境センサーには、取得データの拡張性を担保しながらコストを抑えるために、通信機能やセンサー制御機能などを備えたマルチセンサーターミナルを採用した。

 並行して、収集した画像データを対象に、子豚の健康や母豚の交配可否などを判別するAIの開発も進める。子豚をAIで個体認識し、行動分析により健康状態を判断する。疾病の兆候を検知して治療したり、豚にとって快適な室温や餌を調整したりも計画する。母豚の発情兆候を判別することで、より適切なタイミングでの交配が可能になり、繁殖成績の安定化や生産子豚の増加を期待する。

 将来的には、ニッポンハムグループを中心とした複数の養豚場に導入し、さまざまな環境の豚を学習し判別できるようにすることで、養豚業向けAIエンジンに拡張したい考えだ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名日本ハム
業種農林水産
地域青森県上北郡おいらせ町など
課題人手不足が進むなか、養豚場の生産性向上や労働負荷の軽減を図りたい
解決の仕組み養豚場での育成業務をIoTやカメラで記録し、飼育ノウハウを継承するほか、データに基づいて豚の健康や発情兆候を判定できるようにする
推進母体/体制日本ハム、養豚事業会社インターファーム、NTTデータ、NTTデータSBC
活用しているデータ豚舎に設置したカメラの画像、環境センサーで測定した温湿度など
採用している製品/サービス/技術カメラ、環境センサー、AIなど
稼働時期2018年12月から