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デンソー、工場の配置換えの柔軟性を高めるために5Gによる産業用ロボット制御を実証実験

DIGITAL X 編集部
2019年2月13日

デンソーは、産業用ロボットの制御に5G通信を用いる実証試験をデンソー九州の工場で2019年2月18日から開始する。ロボットを制御するための通信回線を無線化し、より柔軟なレイアウト変更を可能にするのが目的だ。実証実験に参加するKDDI、九州工業大学、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)とともに2019年1月29日に発表した。

 デンソーが実施するのは、産業用ロボットの制御に5G通信を用いる実証実験(図1)。デンソー九州の工場内で2019年2月18日から開始する。2019年1月21日から、実験に参加する九州工業大学の戸畑キャンパスで事前評価を始めている。

図1:5G無線通信を用いて産業用ロボットを制御する

 産業用ロボットの制御には通信回線が必要だが、有線の通信回線では、製造工程の変更に伴いロボットを配置換えする際に通信回線の敷設状況も変更しなければならなかった。また配置変え後は、ロボットの動作を調整するために高精度な3次元計測センサーを用いるが、データ量が大きいため、より大容量な通信回線が必要になる。

 今回の実証では、有線に代えて5G通信を用いることで、大容量な無線通信環境を構築する。具体的には、28GHz帯の5G基地局を用いた試験エリアを構築し、3次元計測センサーとロボットに5G対応端末を接続。計測データや制御データを5Gで送受信してロボットを制御する。工場内のレイアウト変更の柔軟性を高め、製造工程の変更に伴う工場の稼働停止時間を短縮できるようにするのが目的だ。

 実験には、九州工業大学とデンソー九州のほか、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)、KDDI、KDDI総合研究所が参加する。九州工業大学は、事前評価のほか、部品搬送システムの構築、および「教示レスピックアンドプレースシステム」の開発と評価など担当する。

 教示レスピックアンドプレースシステムとは、産業用ロボットが部品をつまみ上げて指定位置まで移送するシステムにおいて、ロボットの作業空間全体を計測・把握することで、周辺環境が変化した場合でもロボットに再教示しなくても最適に動作できるようにする仕組みだ。

 KDDIは5G通信のエリア設計・評価を、KDDI総合研究所は、産業用ロボットや教示レスピックアンドプレースシステムと5Gの総合的なシステムを検討する。

 本実験は、総務省の「技術試験事務」における5G総合実証試験としてATRが請け負っている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名デンソー
業種製造
地域福岡県北九州市(デンソー九州)
課題ロボットの配置換えに伴い有線の通信環境では、ケーブル類の再敷設作業が発生し、配置替えの柔軟性が低く工場の停止時間も長引いていた
解決の仕組み有線の通信環境に代えて、高速・大容量の5G通信を利用する
推進母体/体制デンソー、デンソー九州、九州工業大学、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)、KDDI、KDDI総合研究所
活用しているデータ3次元計測センサーで得たロボットの動作状況など
採用している製品/サービス/技術5G通信、「教示レスピックアンドプレースシステム」(九州工業大学が開発)など
稼働時期2019年2月18日