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JVCケンウッド、医療用カメラ用の部品を3Dプリンターで製造へ

DIGITAL X 編集部
2019年2月22日

JVCケンウッドは、開発中である医療用カメラに3D(3次元)プリンターで造形した部品を採用することを決めた。生産終了した製品の補給部品への適用も検証を進めている。3Dプリンターを提供する日本HPと、3Dプリンターを使った造形受託サービスなどを手掛けるSOLIZE Productsが2019年1月29日に発表した。

 JVCケンウッドが3Dプリンターで製造した部品を搭載するのは、開発中の医療用カメラ。その内部部品を3Dプリンターで量産する。従来工法では製造が難しい複雑な構造を実現することで、機能改善とコスト削減の両立を図るのが目的だ。

 同社は以前から、3Dプリンターを形状試作や治具などのツーリング分野で利用してきた。今回、最終製品への適用に向けて、3Dプリンターによる造形に適した部品の選定や、試作した部品の技術的な検証を実施し、量産での採用を決めた。

 生産終了した製品の補給部品への適用も検証している(写真1)。補給部品のための金型の長期間の管理やメンテナンスコストの負担などの課題解決を狙う。ここでは、SOLIZE Productsと日本HPが提供する「補給部品コンサルティングサービス」を利用している。

写真1:補給部品への適用として検証しているラジカセのハンドル部品。写真は試作・検討段階のもので実際の製品の補給部品ではない

 量産に向けた部品の選定や検証は、SOLIZE Productsと日本HPと共同で実施した。日本HPの「HP Jet Fusion 3D 4200 プリンティングソリューション」の特長を生かし設計を最適化しているという(写真1)。

写真2:「HP Jet Fusion 3D 4200 プリンティングソリューション」の外観

 HP Jet Fusion 3D 4200 プリンティングソリューションは、ボクセル(3次元の画素)単位で部品に機械的特性を持たせられ、実用的な部品を造形する。JVCケンウッドのSCM部スマートファクトリー推進グループ グループ長である佐藤 直樹 氏は、「量産品が求める精度とコストに加え、物理的性質が方向によって異なる異方性が少ないことから、多くの最終製品に適用できる可能性がある」点を評価したとしている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名JVCケンウッド
業種製造
地域横浜市
課題(1)従来工法では製造が難しい複雑な構造の部品を低コストに製造したい、(2)長期にわたる補給部品の金型管理やメンテナンスコストが負担になっている
解決の仕組み3Dプリンターで製品用の部品を量産する
推進母体/体制JVCケンウッド、日本HP、SOLIZE Products
活用しているデータ設計データなど
採用している製品/サービス/技術「HP Jet Fusion 3D 4200 プリンティングソリューション」(日本HP製)、補給部品コンサルティングサービス(SOLIZE Productsと日本HPが提供)など