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日本特殊陶業、3D中心の設計情報管理で設計プロセスを”見せる化”し営業効率を向上

DIGITAL X 編集部
2019年3月28日

日本特殊陶業は、設計情報管理を従来の2D(次元)図面中心から3D中心に移行した。設計プロセスを設計部門から営業部門への”見せる化”が実現し、営業効率が向上したとする。PLM(Product Lifecycle Management:製品ライフサイクル管理)ソフトウェアなどを提供する米PTC日本法人が2019年2月26日に発表した。

 設計情報の管理を、従来の2D(2次元)図面中心から3D(3次元)データ中心に切り替えたのは、日本特殊陶業の機械工具事業部。切削工具の特殊品の需要の高まりと顧客要求の高度化に対応するのが目的だ。

 3D中心の運用に移行したことで、種々の業務の高度化が進んでいるという。1つは、受注設計の進ちょく状況がタイムリーかつ正確に把握できるようになったこと。紙とExcelでの管理が電子化されたためである。

 もう1つは、設計部門と営業部門の情報交換。図面情報や設計業務進捗のグラフなどを営業担当者が海外からでもタイムリーに確認できるため営業効率が向上した。これを同社は、設計から営業に積極的に見せる活動という意味で「設計業務の見せる化」と呼んでいる。

 同社はこれまで、設計に3D CADを用いていたにもかかわらず、図面はTIFF形式の画像ファイルなどでの管理を前提にしてきた。結果、2D CADでわざわざ図面にし、図面中心の業務プロセスになっていた。社内の各所で情報の再入力が発生し、後工程でもデータを有効活用できていなかった。

 今回、設計情報管理の仕組みを3Dデータ中心に切り替えた。そのためにPLMソフトウェア「Windchill」(米PTC製)に切り替え、作図ソフトウェアも3D CADソフトウェア「Creo」(同)に変更した。

 今後は、PLMを核に、製品データを製造や販売促進部門にも展開し、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)やAR(Augmented Reality:拡張現実)を活用した次世代型のものづくり体制の確立を目指す。在宅勤務や、出張先、海外拠点などから、安全かつスピーディに製品データを活用するための試みも始めている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名日本特殊陶業
業種製造
地域名古屋市
課題3D CADで設計したデータを2Dの画像ファイルとした図面で管理しており、情報の再入力など業務が非効率になっていた
解決の仕組み2D図面中心から3D中心の運用に切り替え、3Dデータを部門を超えて利用できるようにする
推進母体/体制日本特殊陶業、米PTC日本法人
活用しているデータ設計図面データ、3D CADデータなど
採用している製品/サービス/技術PLMソフトウェア「Windchill」(米PTC製)、3D CADソフトウェア「Creo」(同)など
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