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オリンパスが工業用内視鏡や遠隔医療のためのAI/IoTサービスの開発に本腰、基盤にはAzureを採用

DIGITAL X 編集部
2019年4月4日

オリンパスは現在、工業用内視鏡や遠隔医療などの分野で、AI(人工知能)やIoT(Internet of Things:モノのインターネット)を使ったサービス提供に向けたプロジェクトを進めている。そのためのシステム基盤にパブリッククラウドの「Microsoft Azure」を採用した。日本マイクロソフトが2019年3月1日に発表した。

 オリンパスが構築する「ICT-AIプラットフォーム」は、AI(人工知能)やIoT(Internet of Things:モノのインターネット)を使ったサービスを提供するための基盤。医療や科学、映像などの事業分野で、既存の製品サービスの高付加価値化や新規ビジネスの開発などに利用する。

 ICT-AIプラットフォームの構築・実用化に向けては2019年4月1日付けで、技術統括役員直轄のグローバルな新役職「Customer Solutions Development, Global」を設置。グローバルヘッドには、手術用の医療映像システムを手がける米ISM(Image Stream Medical)CEOを兼務するEddie Mitchell氏が、グローバル副ヘッドには相澤 光俊(元ソフトウェア・ICT 開発本部ICT ソリューション部副部長)が、それぞれ就いた。

 現在、大きく3つのプロジェクトを進めている。(1)IoTサービスの「OLYMPUS Scientific Cloud」、(2)AIを活用した工業用内視鏡、(3)遠隔医療支援「MedPresence」である。

 OLYMPUS Scientific Cloudは、各種センサーや非破壊検査用機器などをクラウドへ常時接続し、ソフトウェアの継続的な更新や大量データのバックアップ、データの可視化などを可能にする(図1)。共同作業や予兆保全、データの保護も視野に入れる。

図1:「ICT-AIプラットフォーム」の産業分野での利用イメージ

 工業用内視鏡プロジェクトでは、内視鏡で撮影したジェットエンジンの内部画像から、損傷の有無や損傷箇所を深層学習により検知する。

 MedPresenceは、遠隔医療における手術効率の向上と専門性の高度化を図る(図2)。医療機関向けにセキュリティも高める。

図2:「ICT-AIプラットフォーム」の医療分野での利用イメージ

 ICT-AIプラットフォームを構築するうえで、パブリッククラウドサービス「Microsoft Azure」(米Microsoft製)を採用した。3つのプロジェクトも、Microsoftとの連携で展開している。たとえば工業用内視鏡プロジェクトでは、MicrosoftがOSS(オープンソースソフトウェア)として提供する深層学習フレームワーク「CNTK(Cognitive Toolkit)」を利用する。

 Microsoft本社の研究開発部門とも連携する。最新技術の導入を図るほか、米国や欧州のMicrosoftのコンサルティングサービスと連携し、最新事例から得られる知見を基にプロジェクトを展開していく。

 なおAzureの選定においてオリンパスが評価したのは、(1)最新技術の提供から導入までと障害発生時の対応などグローバルなサポート体制があること、(2)世界140カ国、54リージョンにデータセンターが設置されていること、(3)それぞれの市場で求められるセキュリティ要件に適合していること、(4)プライバシー保護が高いこと、(5)各国市場での医療や科学分野での豊富な実績を有していること、などだとしている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名オリンパス
業種サービス
地域東京都新宿区(本社)
課題医療や科学、映像などの事業分野で、AI/IoTを活用して製品/サービスの高付加価値化を図りたい
解決の仕組みパブリッククラウドサービスを採用してAI/IoTの基盤を構築する
推進母体/体制オリンパス、日本マイクロソフト、米マイクロソフトなど
活用しているデータ各種センサーや非破壊検査用機器などで測ったデータ、工業用内視鏡で撮影したジェットエンジンの内部画像など
採用している製品/サービス/技術パブリッククラウドサービス「Microsoft Azure」(米Microsoft製)、OSS(オープンソースソフトウェア)の深層学習フレームワーク「CNTK(Cognitive Toolkit)」(同)など