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ヤマハ発動機、競技用ヨット「470級」の性能向上にIoTを使う実証実験

DIGITAL X 編集部
2019年4月10日

ヤマハ発動機が、競技用ヨットの帆走性能を高めるために、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)を使った実証実験に取り組んでいる。ヨットのチューニングや選手のスキルを高めるために各種センサーで得たデータを解析する。センサーやデータ解析サービスなどは富士通が提供する。2019年3月11日に発表した。

 ヤマハ発動機が、静岡県の浜名湖で2019年3月13日から2019年4月30日まで、競技用ヨットにおけるIoT(Internet of Things:モノのインターネット)活用の実証実験に取り組んでいる。

 対象のヨットは「470(ヨンナナマル)級」と呼ばれる競技用の小型ヨット。艇体の構造や帆柱、帆などへのチューニング(各種の設定)や選手の動きが帆走性能に及ぼす影響をデータ化し、レース海上の状況や選手の体格に応じた最適なチューニングを導き出すのが目的だ。選手の帆走スキル向上にも役立てる。

図1:競技用ヨット「470級」におけるチューニング項目の例

 実験ではヨットに、艇体の姿勢を計測する9軸センサー(加速度、ジャイロスコープ、地磁気)と、艇速や位置・針路を計測するGPS(全地球測位システム)センサー、舵板にかかる力を測る応力センサーを取り付ける。それに、伴走する計測艇には風向・風速センサーを搭載する。

 これらのセンサーから取得したデータはクラウドに送り、解析する。その結果を基に、ヨットの帆走性能を高めるのに必要な調整項目を洗い出す。これらを繰り返すことで最適なチューニングを導き出す(図2)。

図2:浜名湖で実施する実証実験のイメージ

 実験で用いるセンサーや、測定したデータを記録・解析するクラウドサービス、分析結果をPCや携帯端末に表示するアプリケーションは富士通が提供する。PCなどの画面では、数値や、グラフ、海上地図などで帆走状況が見られる。

 実験対象の470級は、全長が470cmの2人乗りの小型ヨット。設計・建造規格が厳格に定められているため、限られた許容範囲の中で、いかに帆走性能を高めるかが勝敗を左右する。艇体や帆、帆柱などへのチューニングが競技艇の開発では重要課題になっている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名ヤマハ発動機
業種製造
地域静岡県・浜名湖(実験実施場所)、静岡県磐田市(本社)
課題競技用ヨット「470級」の帆走性能を高めるには、艇体や帆、帆柱などへのチューニングが競技艇の開発では重要課題である
解決の仕組み艇体に取り付けた各種センサーで測定したデータを解析し、チューニングの影響をデータとして把握する
推進母体/体制ヤマハ発動機、富士通
活用しているデータ9軸センサーで計測した艇体の姿勢、GPSセンサーで計測した艇速や位置・針路、応力センサーで計測したヨットの舵板にかかる力、風向・風速など
採用している製品/サービス/技術9軸センサー、GPSセンサー、応力センサー、風向・風速センサー、測定したデータを記録・解析するクラウドサービス、分析結果をPCやスマートデバイスに表示するアプリケーション(いずれも富士通が提供)
稼働時期2019年3月13日から2019年4月30日まで