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JALがチェックインカウンターでの顧客対応にAIを活用、アジャイル手法で短期開発

DIGITAL X 編集部
2019年4月10日

日本航空(JAL)は成田と羽田の両国際線チェックインカウンターで、AI(人工知能)を活用した案内支援システムを2019年3月12日から試験導入している。顧客対応の質と速さを高めるのが目的で、空港スタッフの音声入力から必要な情報をAIで判断し、タブレット端末に表示する。開発には米アクセンチュア日本法人が協力した。2019年3月12日に発表した。

 日本航空(JAL)が成田空港と羽田空港の国際線チェックインカウンターに試験導入したのは、顧客への案内支援システム。顧客応対している空港スタッフの音声をAI(人工知能)で解釈し、必要な情報をタブレット端末に表示する(写真1)。顧客の待ち時間短縮と、顧客とのコミュニケーションを活性化することで、顧客と社員双方の満足度向上につなげる。

写真1:問い合わせ対応の音声をAIで解釈し、必要な情報をタブレット端末に表示する

 チェックインカウンターでは、乗り継ぎ便の経由地での手荷物に関する問い合わせや、座席アップグレードの要望、目的地の空港ラウンジの場所など、さまざまな質問が寄せられる。従来は、チェックイン用とは別のPCや紙の資料を確認して回答していた。

 試験導入に先立ち、2018年10月に一部の空港スタッフを対象に有効性の検証を実施。その結果を踏まえて試験導入した。今後は、試験の結果を評価し、本格導入を検討するとしている。

 新システムは、米アクセンチュア日本法人と協力して開発した。音声認識エンジンなど複数のAIエンジンと業務プロセスを組み合わせられる「AI HUBプラットフォーム」を採用。JALのナレッジデータベースやWebサイトなどの情報をAIで検索・表示するための基盤を2週間で開発した。JALのスタッフが大幅な調整をしなくても、AIエンジンの回答精度は業務レベルにまで高められたとしている。

 開発では、アクセンチュアのコンサルティング組織が有するアジャイル型のプロジェクト推進手法を使った。デザインシンキングとロジカルシンキングを組み合わせ、サービスの設計・開発・検証のサイクルを短期間に繰り返す。併せて、AIやデータサイエンスの専門組織が持つ技術力や、航空業界における知見も活用したという。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名日本航空(JAL)
業種交通
地域千葉県成田市・東京都大田区(試験導入場所)、東京都品川区(本社)
課題空港のチェックインカウンターでの顧客対応の質と速さを高めたい
解決の仕組み空港スタッフの顧客との対応音声から、必要な情報をAIが判断しタブレット端末に表示する
推進母体/体制JAL、米アクセンチュア日本法人
活用しているデータ顧客の問い合わせにスタッフが応対する音声のデータなど
採用している製品/サービス/技術複数のAIエンジンと業務プロセスを組み合わせて情報検索基盤などを構築できる「AI HUBプラットフォーム」(アクセンチュア製)
稼働時期2019年3月12日(試験導入)