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仏鉄道大手のアルストム、車両のカスタマイズ提案に3Dモデルを利用

DIGITAL X 編集部
2019年4月17日

フランスの鉄道車両メーカーである仏アルストムが、顧客への車両デザインの提案に3D(3次元)モデルの利用を始めている。旧イタリア国鉄への提案に実際に利用した。受注時に、物理的な試作をせずに、車両の長さや座席、色などのカスタマイズ要素を組み合わせて提示した。そのための環境であ「3DEXPERIENCE」を提供する仏ダッソー・システムズが2019年3月12日(現地時間)に発表した。

 鉄道車両メーカーの仏アルストムが進めているのは、顧客である鉄道会社の要望に合わせてカスタマイズする際に、実際の車両開発プロセスと連動する3D(3次元)の車両モデルを使う取り組み。紙の資料や物理的な試作モデル(プロトタイプ)に頼らず、顧客とさまざまなデジタル版の車両モデルを検証し、仕様を合意することで、顧客ニーズを確実に満たす車両を納品できるようにする。

 今回、旧イタリア国鉄を母体とする民間鉄道会社である伊トレニタリアに車両150両を提供するに当たり、この車両モデルを用いる。トレニタリアは本格的な車両モデルを構築する前に、仮想的な車両モデル上で、車両の長さや乗客の座席、自転車ラック、色、素材、ロゴ、ステッカーなど、さまざまな組み合わせを確認しながら設定できる(写真1)。

写真1:3D(次元)モデルを使い鉄道車両のカスタマイズを視覚化する

 トレニタリアにすれば、地域輸送や郊外輸送において、快適性や広さ、明るさ、安全性に優れた車両を旅客に提供したいというニーズが満たせることが期待できる。

 車両モデルを検証し詳細な仕様が固まれば、カスタマイズ過程で使ったアルストムの設計とエンジニアリングのデータは、そのまま視覚的なデータ資産に変換し、販売促進やマーケティングのキャンペーンにも活用できる。

 今回導入する仕組みは、自動車業界ではすでに「バーチャル・ガレージ」として実用化されている。3Dデータは、装備やオプション設定、ショールーム、イベントなどで使用される。アルストムはバーチャル・ガレージのプラットフォームとして「3DEXPERIENCE」(仏ダッソー・システムズ製)を採用し、3次元視覚化アプリケーションを利用する。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名仏アルストム
業種製造
地域フランス・パリ(本社)
課題鉄道車両をカスタマイズする際に、顧客の要望に合わせたモデルを、物理的に試作することなく提示したい
解決の仕組みデジタルでの3次元視覚化を用いて仮想的な車両モデルを提示し、車両の長さ、座席、色などのさまざまな組み合わせを視覚化できるようにする
推進母体/体制仏アルストム、仏ダッソー・システムズ
活用しているデータ車両モデルの3次元データなど
採用している製品/サービス/技術「3DEXPERIENCE」(仏ダッソー・システムズ製)など