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浜松市、アワビの陸上養殖における水質管理にIoTを利用

DIGITAL X 編集部
2019年4月19日

静岡県浜松市は、アワビの陸上養殖における水質管理にIoT(Internet of Things:モノのインターネット)を利用する実証実験に2019年4月から取り組んでいる。水質センサーや監視カメラで監視し、スマートフォンなどで水質を確認できるようにする。実験に参加するKDDIが2019年3月18日に発表した。

 静岡県浜松市が取り組むのは、アワビの陸上養殖における水質管理へのIoT(Internet of Things:モノのインターネット)システムの適用。水質センサーや遠隔監視カメラなどを導入し、養殖用水槽の水質データを蓄積し、水質管理の効率化を図る(図1)。

 アワビの陸上養殖は、海水温の変化や病原菌などの環境変化による被害リスクを低減でき、年間を通して安定的に出荷できる利点がある。一方で、水槽内の水質を養殖に適した状態に保つことが重要になる。そのため1日1回、水質を目視で確認したり匂いの変化をとらえたり、あるいは水温を測るなどをスタッフが実施している。

 また、順調に育たなかった死がいの回収が遅れると、アンモニアなどの有害成分が充満し、水槽全体のアワビが全滅する恐れがある。

 そこで実験では、水質センサーを水槽に設置し水温や塩分濃度、pHを計測。ろ過槽には遠隔監視カメラを設置し水の汚れ具合を撮影する。これらのデータを1時間に1回クラウドに送信し、養殖管理者がスマートフォンなどで情報を確認できるようにする(図1)。水質異常を検知すれば、アラートをメールで送信し、水質悪化への対策を早期に打てるようにする。

図1:浜松市が実証する、アワビの陸上養殖における水質管理の仕組み

 また、遠隔監視カメラの映像データを基にしたアワビの生死判定の実現を目指す。併せて、新たな種苗の飼育にも挑戦し、浜松市に適した養殖技術を確立し、将来的には地域特産品としての販路拡大を目指す。

 実験には浜松市とKDDIが参加する。浜松市は、実験場所の提供やニーズの集約・調整、効果検証を担当。KDDIは、実験機器や通信環境、クラウドサーバーを提供する。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名静岡県浜松市
業種農林水産(今回の実験の分野)、公共
地域静岡県浜松市
課題アワビの陸上養殖を地場産業に育てたいが水槽の水質管理などに毎日手間がかかる
解決の仕組み水質センサーや監視カメラを使って水質を遠隔監視し、スマートフォンなどから確認できるようにする。水質異常時はメールでアラートを送る
推進母体/体制浜松市、KDDI
活用しているデータ水槽内の水温・塩分濃度・pH、ろ過槽の監視カメラ映像など
採用している製品/サービス/技術遠隔計測に対応した水質センサー、遠隔監視カメラ、情報を仲介するクラウドサービスなど
稼働時期2019年4月に実証実験を開始