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熊本市、防災・減災に向けたAI活用を損保ジャパンなどと実証し導入へ

DIGITAL X 編集部
2019年4月26日

熊本市が、防災・減災システムへのAI(人工知能)の活用に向けた実証に取り組んでいる。洪水や地震などの被害を予測し、防災計画の策定や災害発生時の対応などに利用する。2019年9月の導入を予定する。実証に参加する損保ジャパン日本興亜が2019年3月25日に発表した。

 熊本市が取り組むのは、被害予測や被害状況の把握などを、より正確に、かつ、よりリアルタイムにするための実証実験。防災・減災システムにAI(人工知能)技術を活用。洪水や地震といった災害の発生前・発生時・発生後のそれぞれで正確な被害予測と、被害状況のリアルタイムな把握をブロック(区画)単位で可能にする(図1)。

図1:災害の発生前・発生時・発生後における防災・減災システムの活用イメージ

 同市は、2019年3月に開始した実証を踏まえ、2019年9月から防災・減災システムの利用を開始する予定である。2019年9月までに洪水システムを、2019年12月までに地震システムを構築する。システム構築後も継続的にデータを投入し予測精度の向上を図っていく。

 AIで分析するデータは、(1)気象などの自然環境のデータ、(2)人口データや、建物、電線・ガス管・水道管などインフラの構築データ、(3)河川水位、地震検知、衛星などのライブインシデントデータの3種のデータである。

 これらのデータから平時(災害発生前)は、災害の危険性と地域の脆弱(ぜいじゃく)性をAIで評価し、動的シミュレーションにより被害状況の変化を予測する(図2)。予測結果から、効果的なBCP(事業継続計画)や防災計画を策定・見直したり、自衛消防団・地域住民が参加する防災訓練の実施や避難場所や避難方法の見直しなどにより、防災・減災対策を強化する。

図2:洪水による被害の予測画面(左)と地震による被害の予測画面

 建物や交通、電線・ガス管・水道管などのインフラの損壊具合も予測する。施設や周辺地域の安全性・健全性を事前に評価し、インフラや施設の活用方法や投資/撤去の判断などに利用する。

 災害の発生直後には、被災地域の被害を予測し、被害状況や地域の被害規模をリアルタイムに把握する。被害の地域や規模を正確に把握し、高齢者や子供を優先的に救助するなど、効率的・効果的で迅速な初動対応により被害の極小化を図る。

 災害発生後は、建物損壊などの被害状況を詳しく収集し、実際の被害データとしてシステムに組み入れる。災害からの早期回復に向けた適切で効果的な復興対策を検討し、早期の復興を目指す。

 実証には、損保ジャパン日本興亜と、防災関連のスタートアップ企業である米One Concern、気象情報会社のウェザーニューズが参加する。3者は、One Concernの防災・減災システムを基に、日本向けのシステムを開発することで業務提携している。One Concernのシステムは米国ではロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトルなどの各市自治体が導入している。ウェザーニューズは過去の気象データと気象予測データを提供する。

 熊本市と損保ジャパン日本興亜は「地域防災力向上のための相互協力に関する協定」を2018年8月20日に締結している。今回の実証は同協定に基づくものになる。

 損保ジャパン日本興亜は今後、防災・減災システムに保険商品を連動させたサービスや、リスクコンサルティング事業を展開するSOMPOリスクマネジメントが持つノウハウを使ったBCPコンサルティングサービスの拡充を図るとしている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名熊本市
業種公共
地域熊本市
課題地域の防災・減災対策を強化したい
解決の仕組み洪水や地震などの発生前・発生時・発生後被害をAI(人工知能)で予測し、防災計画の策定や、災害発生時の初動対応、発生後の復興対策などに利用する
推進母体/体制熊本市、損保ジャパン日本興亜、米One Concern、ウェザーニューズ
活用しているデータ過去の気象と気象予測、人口、建物や電線・ガス管・水道管などインフラの構築データ、河川水位・地震検知・衛星などのライブインシデントデータなど
採用している製品/サービス/技術AI(人工知能)技術、防災・減災システム(米One Concern製)など
稼働時期2019年3月からの実証を経て、2019年9月から本番利用する予定