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工場用工具などを扱うトラスコ中山、新サービス「MROストッカー」投入や顧客への見積もり回答などの自動化へ
工場などで使用する機械工具や消耗品(MRO)の卸売を手掛けるトラスコ中山は新サービス「MROストッカー」の投入と、顧客対応業務の改善を図る。2020年1月をメドに、見積もり回答などを担う基幹システムを更改し、仕入れ先を対象にしたポータルサイトも構築する。2019年3月28日に発表した。
トラスコ中山は、製造現場などで使う機械工具や工場用消耗品(MRO商材)を扱う卸売業者。紙のカタログでは40万店、オンラインショップでは140万店を扱い、国内に17の物流センターを展開している。
新たに始める「MROストッカー」は、最終顧客の生産現場の隣接地に工具や消耗品を在庫し、必要なときに即納できるようにするサービス。トラスコ中山が扱う商品を販売店経由で取りそろえ、エンドユーザーがすぐに使えるようにする。
そのために、注文から決済、在庫管理などが容易にできるように、ICタグやスマートフォンを使った仕組みを構築するほか、顧客データや天候データを分析し、それぞれの現場に最適な品ぞろえを可能にする計画だ。
並行して、顧客への回答業務を改善するために基幹システムを更改する。そこでは、(1)見積もり回答の自動化、(2)適正商品価格の自動算出、(3)仕入れ先を対象にしたポータルサイト構築の3つの改革テーマに取り組む(図1)。
見積もり回答の自動化では、1日数万件を人手で対応している見積もり業務をITで自動/半自動化し、社内の業務工数を削減。顧客への回答の迅速化とサービスレベルの向上を図る。
適正商品価格の自動算出では、日々更新される商品の特性別や全国の販売店別に、日々手作業で更新している特価のマスター更新業務を、統計に基づきAI(人工知能)で自動的に算出する。工数を低減と更新漏れを防ぎつつ、顧客へ常に適正価格で提供できるようにする。
仕入れ先を対象にしたポータルサイト構築は、仕入れ先との連携を強化するのが狙い。電話やFAXなどでやり取りしている見積もりや納期確認などを、基幹システムが持つデータをポータルに提供することで、効率的でタイムリーな情報連携を促進する。
これらシステムの中核には、独SAP製のERP(統合基幹業務システム)である「SAP S/4HANA」とデータウェアハウス(DWH)の「SAP BW4/HANA」を採用する。
そのうえで、機能拡張やAIなどを使う新機能や社外連携機能には、PaaS(Platform as a Service)として提供される「SAP Cloud Platform」上で開発。顧客情報を自動収集し分析する機能はIoT(Internet of Things:モノのインターネット)基盤の「SAP Leonardo」で構築する。
システム構築には日本IBMと独SAP日本法人が協力する。日本IBMは、企画構想段階のコンサルティングから、要件定義、システム構築までを支援する。SAP S/4HANAの導入に関してはコンサルティングサービス「IBM Impact Assessment for SAP S/4HANA」を使い、SAP S/4HANAへ移行する際の影響を網羅的に評価したうえで、実データに基づくシステム構築プランを策定できたとしている。
企業/組織名 | トラスコ中山 |
業種 | 流通・小売り |
地域 | 東京都港区(東京本社) |
課題 | 生産現場へ工具などを必要なときにすぐ届けたい。多数の商材を、取引先ごとに最適な価格・納期で提供したい。 |
解決の仕組み | 生産現場に隣接した場所に工具や消耗品の在庫を置く新サービスを開始する。基幹システムでは、見積もり回答や適正商品価格の算出を自動化するとともに、仕入れ先向けのポータルサイトを構築する。 |
推進母体/体制 | トラスコ中山、日本IBM、独SAP日本法人 |
活用しているデータ | 仕入れ、販売、見積もり、顧客などのデータ |
採用している製品/サービス/技術 | ERP「SAP S/4HANA」、DWH「SAP BW4/HANA」、PaaS「SAP Cloud Platform」、IoT基盤「SAP Leonardo」(以上いずれも独SAP製)、導入コンサルティングサービス「IBM Impact Assessment for SAP S/4HANA」(日本IBMが提供)など |
稼働時期 | 2020年1月を予定 |