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青汁のキューサイ、収穫量の予測や病虫害の早期発見に向けドローンによる農場管理を実証中

DIGITAL X 編集部
2019年5月13日

青汁などを製造・販売するキューサイが、農場管理にドローンを活用する実証実験に取り組んでいる。上空から撮影した畑の画像から収穫量を予測したり病虫害被害を検知したりすることで、人手不足や専門的知識の継承などに対処する。ドローンや画像解析システムはNTTドコモが提供する。2019年4月2日に発表した。

 キューサイが取り組んでいるのは、青汁の原料となる植物ケールの農場管理にドローンを活用する実証実験。自動で飛行・撮影できるドローンを使ってケール畑を撮影し、PCやスマートフォンなどで遠隔から管理できるようにする(図1)。

図1:ケールの農場管理にドローンを活用する実証実験の概要

 実験は島根県益田市にある同社グループの農場「キューサイファーム島根」で2019年2月から2020年1月にかけて実施する。キューサイファーム島根は東京ドーム約6.6個分の広さがあり、農薬や化学肥料を一切使用せずにケールを栽培している。

 ケール栽培はこれまで、人が定期的に畑を巡回し、1株1株の病害虫の有無を目視で確認していた。しかし、島根県の人口減少に伴う人手不足などから人手による管理が難しくなっている。従業員の高齢化に伴い、育成状態の把握や収穫量の予測に必要な経験や勘の継承も難しくなっていた。

 ドローンを活用した農場管理では、畑を定点観測で撮影し、その画像データから植物の分布や活性度を測る指標である「NDVI」(植物の近赤外領域の波長の反射率を数値化したもの)データを構築し、収穫量の予測や病虫害被害の検知などに利用する。

 これにより、人手不足の解消や病虫害の早期発見のほか、生育調査の精度向上による収穫量の増加や栽培面積の減反、生育状況の可視化による収穫量の予測精度向上と安定化を期待する。

 将来的には、生育状態が悪い株のみにピンポイントで肥料を散布することによる肥料のコスト削減や、農作業機械やトラクターの自動走行機能との連携による作業効率の向上や栽培コストの削減も期待する。

 なおドローン技術や撮影した画像データの解析システムはNTTドコモが提供する。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名キューサイ
業種農林水産
地域島根県益田市(実験実施地域)、福岡市(本社)
課題人手不足などから広大な畑の管理が困難になっていたほか、経験や勘で仕事をしてきた従業員が高齢化し、後継者への知識継承が難しくなっていた
解決の仕組みドローンで畑を上空から撮影し、画像データを解析して、収穫量の予測や病虫害被害の検知などに利用する
推進母体/体制キューサイ、NTTドコモ九州支社
活用しているデータドローンで上空から撮影した畑の画像データなど
採用している製品/サービス/技術ドローン、画像データ解析システム(NTTドコモが提供)など
稼働時期2019年2月から2020年1月まで