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マドリード市地下鉄、換気システムの省エネと涼しさの両立にAIを活用

DIGITAL X 編集部
2019年5月14日

スペイン・マドリード市の地下鉄が駅の換気システムにAI(人工知能)を導入する。気温や乗客数などのデータを学習し、最適な換気量を予測する。エネルギーコストと二酸化炭素の排出量を削減しながら駅構内を快適な温度に保つ。システムの開発・導入を支援した米アクセンチュアが2019年2月19日(現地時間)に発表した。

 スペインのマドリード市地下鉄が導入するのは、省エネと涼しさの両立が可能な換気システム。年間25%のエネルギーコストと1800トンの二酸化炭素(CO2)排出量を削減しながら、駅構内を常に快適な温度に保てるようにする(写真1)。

写真1:スペインのマドリード市地下鉄が運用している換気用ファン

 具体的には、当日の気温や、駅の構造、列車の運行頻度、乗客数、電気料金に応じて最適な換気量を導き出す。そのためにデータを最適化アルゴリズムで分析する。予測システムは、ハチの組織的な採餌行動に着想を得て開発したとしている。

 履歴データとシミュレーションデータの両方を使い、72時間先までの外気温と地下の気温を考慮する。機械学習アルゴリズムにより、各駅の最適な換気量の予測精度を高める。

 換気ファンの異常を検知できるよう、シミュレーションエンジンとメンテナンスモジュールも搭載する。エネルギー消費の監視と管理、システム不具合の特定に対応し、設備の予知保全を実施できるようにする。

 マドリード市地下鉄は、総延長294kmの路線に301の駅を持つ(写真2)。1日の平均乗降客数が230万人である。夏季には、駅構内の涼しさを保つために891台の換気ファンを使用しており、その電力消費量は年間80ギガワット時に達していた。

写真2:マドリード市地下鉄の駅構内の様子

 今回のシステムの開発には、米アクセンチュアの「アプライド・インテリジェンス」グループが協力している。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名スペイン・マドリード市地下鉄
業種交通
地域スペイン・マドリード市
課題気温が高まる夏季には駅構内の換気ファンの電力消費量がかさんでいた
解決の仕組み省エネと涼しさを両立できる換気ファンの運転方法をAI(人工知能)で分析する
推進母体/体制マドリード市地下鉄、米アクセンチュア
活用しているデータ気温、駅の構造、列車の運行頻度、乗客数、電気料金などの履歴データとシミュレーションデータ
採用している製品/サービス/技術AI(人工知能)、各種データから最適な換気量を導き出すアルゴリズム、最適な換気量の予測精度を高める機械学習アルゴリズムなど