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小田急電鉄、オープンなMaaSデータ基盤をヴァル研究所と共同開発へ

DIGITAL X 編集部
2019年5月14日

小田急電鉄がMaaS(Mobility as a Service)事業に乗り出している。他の交通事業者や自治体などが活用できるオープンな共通データ基盤「MaaS Japan(仮称)」を、乗り換え案内ソフトウェア「駅すぱあと」などを手掛けるヴァル研究所と共同で開発する。2019年4月4日に発表した。

 小田急電鉄がヴァル研究所と共同開発するのは、鉄道やバス、タクシーなどの交通データや、フリーパス・割引優待などの電子チケットを提供するためのデータ基盤「MaaS Japan(仮称)」。種々の交通サービスを連携させて提供する「MaaS(Mobility as a Service:サービスとしての移動)」への取り組みの一環だ。

 MaaS Japanは、他の交通事業者や自治体なども利用できる、オープンな共通データ基盤として提供する。各社がMaaSアプリケーションを開発でき、実証実験なども容易に実施できるようにする(図1)。こうした共通データ基盤は日本初としている。

図1:小田急電鉄がヴァル研究所と共同開発するMaaS向け共通データ基盤「MaaS Japan(仮称)」の概念

 小田急は、MaaS Japanを使ったアプリケーションを使った実証実験を2019年末までに実施する。神奈川県の箱根エリアと、神奈川県と東京都にまたがる新百合ヶ丘・町田エリアを想定する。

 並行して小田急グループの鉄道やバスなどの交通データのほか、ホテルや商業施設とのシステム連携なども進める。国土交通省の「都市と地方の新たなモビリティサービス懇談会中間とりまとめ」も踏まえながら、日本でのMaaSアプリケーションの普及・拡大を後押ししたい考え。

 小田急は、2018年4月に発表した中期経営計画で「次世代モビリティを活用したネットワークの構築」を掲げた。自動運転バスの実用化や、グループが保有する交通サービスや生活サービスの連携に取り組んでいる。

 そのために2018年12月には、ヴァル研究所、タイムズ24、ドコモ・バイクシェア、WHILLと、システム開発やデータ連携、サービスの検討を相互に連携・協力することで合意。2019年1月からはJR東日本とMaaSの連携について検討を開始している。

 MaaS Japanを共同開発するヴァル研究所は近年、シェアサイクルと公共交通の複合経路検索サービス「mixway」の開発や、小田急との自動運転バスの実証実験のほか、オンデマンド・リアルタイム配車サービスを提供する未来シェアなどとも業務提携を結んでいる。

 今後はmixwayの開発実績を基に、鉄道やバス、タクシーのほか、オンデマンド交通にも対応したデータ基盤の開発を進めるという。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名小田急電鉄
業種交通
地域東京都・神奈川県(事業地域)、東京都新宿区(本社)
課題種々の交通サービスをシームレスに連携しMaaSの事業化を図りたい
解決の仕組み他の交通事業者や自治体なども活用できるオープンな共通データ基盤を開発する
推進母体/体制小田急電鉄、ヴァル研究所
活用しているデータ鉄道やバス、タクシーなどの交通データ
採用している製品/サービス/技術データ管理や連携のためのプラットフォーム構築技術
稼働時期2019年末までに実証実験を実施