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独BMW、Industry 4.0準拠のIoT基盤「OMP」をAzure上に構築しバリューチェーン全体のスマート化を加速
独自動車メーカー大手のBMW Groupは、独政府が進める「Industry 4.0」に準拠したIoT(Internet of Things:モノのインターネット)基盤「OMP」を構築し、取引先を含めた製造業のスマート化を後押しする。IoT基盤は米Microsoftのパブリッククラウド「Microsoft Azure」上に構築した。米Microsoftが2019年4月2日(米国時間)に発表した。
独BMW Groupが構築する「OMP (Open Manufacturing Platform)」は、取引先などを含めたバリューチェーン全体でデータの共有するためのIoT(Internet of Things:モノのインターネット)基盤。独政府が進める製造業の次世代モデル「Industry 4.0」に準拠し、業界標準なデータモデルに基づく参照アーキテクチャーを提供することで、取引先を含めたデータ共有・分析を加速する。
OMPで目指すのは、製造業において各社が独自にシステムを構築してきたことによるデータのサイロ化や生産性の低下の解消だ。自動車産業を含む製造業全般を対象に、業界標準のデータモデルや、システムの参照アーキテクチャー、サンプルコードなどを提供することで、バリューチェーンでのデータ共有や、スマート化に向けた新たなサービスやソリューションを早期に開発できるようにする。
業界標準のデータモデルにより、従来はサイロ化していた各社のデータを業界横断的にデータを分析したり機械学習を可能にしたりする。そこでは、自社データについては会社が管理権限を保てるようにする。
参照アーキテクチャーとサンプルコードにより、バリューチェーンのメンバーおよび、そのパートナーは、ソフトウェアの再利用が容易になり、実装コストの削減を図れる。たとえば、生産/物流の自律輸送システムのためのROS(Robot Operating System)ベースの標準がOMP上では誰もが利用できるようになる。
企業をまたがるシステム連携に向けては、業界の相互運用標準である「OPC UA」を採用し、Industry 4.0の参照アーキテクチャーとの互換性を確保する。既存の機器やオンプレミスのシステムを含め、効率的かつ安全に統合できるとしている。
BMWは、スマートファクトリーのユースケースも提供する。その1つが、自社のレーゲンスブルク工場における自動輸送システムのユースケース。3000台以上の機械やロボット、自律輸送システムをOMPを使って接続し全体を最適化したことで、物流プロセスの簡素化と効率改善が図れたという(写真1)。
今後は、デジタルフィードバックループやデジタルサプライチェーンマネジメント、予測メンテナンスなどのユースケースを用意する予定である。
OMP構築にあたりBMW Groupは米Microsoftとパートナーシップを締結し、Microsoftのパブリッククラウド「Microsoft Azure」上にOMPを構築した。Azureが提供するIoTやAI(人工知能)などの機能を利用している。
企業/組織名 | 独BMW Group |
業種 | 製造 |
地域 | 独レーゲンスブルクなど |
課題 | 各社が独自に構築してきたシステムがデータのサイロ化と生産性の低下などを招いている |
解決の仕組み | オープンなデータモデルや参照アーキテクチャーを公開し、バリューチェーン全体でのデータ活用を後押しする |
推進母体/体制 | 独BMW Group、米Microsoft |
活用しているデータ | 製造業における生産、販売、物流などの過程で発生する各種データ |
採用している製品/サービス/技術 | パブリッククラウド「Microsoft Azure」(米Microsoft製)およびAzureが提供するIoTやAIの機能など |