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伸和精工、航空宇宙産業向け事業の拡大のため金属3Dプリンターを導入へ

DIGITAL X 編集部
2019年5月24日

精密機械加工などを手掛ける伸和精工は、航空宇宙産業向け事業を拡大するために、大型焼結炉を含めた金属3D(3次元)プリントシステムを導入する。高精度・高品質の加工を、より低コスト・短時間・安全に行えるようにする。サポートを提供する3D Printing Corporationが2019年4月11日に発表した。

 伸和精工は、300mm角以内の製品や部品の特殊加工を多品種少量の注文に対応して手がける企業。航空宇宙産業における品質規格「AS9100」を取得し、同分野へも進出している。

 今回、航空宇宙産業向け事業を拡大するために、金属3D(3次元)プリンター「Metal X」(米Markforged製)を中心としたシステム一式の導入を決めた(写真1)。

写真1:金属3Dプリンター「Metal X」(米Markforged製)

 Metal Xは、低コスト・短時間で高密度の金属3Dプリントが可能な3Dプリンター。「原子拡散積層造形法(ADAM:Atomic Diffusion Additive Manufacturing)」を採用し、金属粉末を樹脂に閉じ込めたフィラメントを使用して造形する。金属粉末の飛び散りや粉じん爆発を防げ、安全に使用できる。

 加えて、3Dプリントした金属パーツを洗浄する自動洗浄タンク「Wash-1」と、そのパーツを焼結する大型焼結炉「Sinter-2」を含め、金属3Dプリントの全工程をカバーするシステム一式を導入する。Sinter-2を含む金属3Dプリントシステムの導入は日本では、これが初めてという。

 新システムでは、大きいサイズの金属部品や、多数の小さな金属部品を効率的に処理できる。自社工場内で高品質を保ちながら、低コスト・短時間での金属造形に取り組む。

 システムの導入は、3Dプリントを総合的にサポートする3D Printing Corporationが担当する。伸和精工が航空宇宙産業などが求める高精度・高品質の精密加工に取り組めるよう、DFAM(3Dプリント成形を前提とした特殊設計)などのサポートを提供する。

 なお伸和精工は2019年8月に、小型衛星関連の国際学会「Small Satellite Conference」に出展し、本システムで製作したサンプル品を展示する予定だ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名伸和精工
業種製造
地域山口県宇部市
課題航空宇宙産業向け事業を伸ばすために、より高品質・低コスト・短時間・安全な精密機械加工を実施したい
解決の仕組み大型の焼結炉を含めた金属3Dプリントシステム一式を導入する
推進母体/体制伸和精工、米Markforged、3D Printing Corporation
活用しているデータ金属3Dプリントの過程で発生する各種データ
採用している製品/サービス/技術金属3Dプリンター「Metal X」、自動洗浄タンク「Wash-1」、大型の焼結炉「Sinter-2」(いずれも米Markforged製)など