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東京電力HD、送電鉄塔の遠隔監視に向け電源供給不要のIoTシステムを実証中

DIGITAL X 編集部
2019年6月10日

東京電力ホールディングスが、送電用の鉄塔を遠隔監視するためにIoT(Internet of Things:モノのインターネット)システムの実証を進めている。太陽光発電で動作するゲートウェイを採用することで、IoTシステム自体の保守作業の軽減も図る。遠隔監視サービスを提供する日本ユニシスが2019年6月4日に発表した。

 東京電力ホールディングスが実証を進めているのは、送電用の鉄塔を遠隔監視するための仕組み。東京電力管轄内の送電鉄塔に3軸加速度センサーを設置し、鉄塔脚の傾きを計測する。センサーで得たデータはクラウド上で収集・蓄積・加工する。管理者は、モニタリング画面上で鉄塔の状況をリアルタイムに確認できる(図1)。

図1:送電鉄塔の傾きを3軸加速でセンサーで測りクラウド経由で遠隔地から監視する

 東京電力グループは約4万5000基の鉄塔設備を保有するが、多くの鉄塔は人が訪れにくく、点検・保守作業が困難な場所にあることが多い。それらを遠隔監視することで、点検などの作業効率を高める。設備の異状予測やライフサイクルコストの低減などにもつながると期待する。

 鉄塔に設置するIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の仕組み自体の保守作業を軽減するために、データをクラウドに送信するゲートウェイは、太陽光発電で稼働させることで電源供給を不要にした。Linuxなどの汎用OSなどを使わず電気を極力使用しない回路にすることで、435mm×250mmの太陽光パネルのみで動作する。ゲートウェイとクラウドとの通信は携帯無線通信の「3G」または「LTE」を採用している。

 センサーとゲートウェイ間の通信は、広域省電力の無線通信「LPWA(Low Power Wide Area)」の規格である「LoRa」を採用した。センサーはゲートウェイから数キロメートル離れた場所に設置できる。

 実証のためのシステムとしては、日本ユニシスが2019年6月4日に提供を開始した、屋外設備や環境の遠隔監視サービス「MUDENモニタリングサービス」を用いている。ゲートウェイは日本ユニシスグループが開発した「MUDEN G/W」を採用している。

 MUDENモニタリングサービスは、米Microsoftのパブリッククラウド「Microsoft Azure」上のIoTビジネスプラットフォームで動作するクラウドサービス。3軸加速度センサー以外のセンサーを使うことで路線や河川などの監視にも対応する。

図2:日本ユニシスの「MUDENモニタリングサービス」の適用例
デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名東京電力ホールディングス
業種サービス
地域東京都千代田区(本社)
課題約4万5000基に及ぶ送電用の鉄塔の保守作業の効率を高めたい
解決の仕組み電源供給不要のIoTを使って鉄塔を遠隔監視する
推進母体/体制東京電力ホールディングス、日本ユニシス
活用しているデータ3軸加速度センサーで測った鉄塔脚の傾きなど
採用している製品/サービス/技術屋外設備や環境の遠隔監視サービス「MUDENモニタリングサービス」(日本ユニシス製)、太陽光パネル付き無線通信ゲートウェイ「MUDEN G/W」(日本ユニシスグループ製)、広域省電力通信規格「LoRa」に対応した3軸加速度センサー、パブリッククラウド「Microsoft Azure」(米Microsoft製)など