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損保ジャパン日本興亜、コンタクトセンターでの顧客との電話応対をガイドするAIを開発へ

DIGITAL X 編集部
2019年6月12日

損害保険ジャパン日本興亜が、コンタクトセンターでの顧客との電話応対をガイドするAI(人工知能)の開発を進めている。音声認識などより顧客の感情を分析し、適切な応対ができるようリアルタイムにガイドする仕組みを確立する。電話応対が優秀な社員の応対などを分析しノウハウを習得する。NTTコミュニケーションズ(NTT Com)と共同で開発する。2019年4月17日に発表した。

 損害保険ジャパン日本興亜とNTTコミュニケーションズ(NTT Com)と共同で開発するのは、電話応対をガイドするためのAI(人工知能)。全国約300カ所、約1万席を持つサービス拠点で、事故の受付から保険金の支払いまでの顧客対応において、すべての社員が適切な電話応対ができるようにするのが目的だ(図1)。

図1:音声認識などを基に顧客の感情を分析し、最適な応対をリアルタイムにガイドする

 電話応対をガイドするAIは次の3段階で開発する(図2)。まず高品質な電話応対の可視化を2019年5月に終え、2019年度内に電話応対を分析するAIを開発、2020年から電話応対ガイドAIを開発する。

図2:顧客との電話応対をガイドするAIを3段階で開発する

 電話応対の可視化では、社内で電話応対の品質や顧客からの評価が高いと認定・表彰された社員「クレドマイスター」の応対音声をテキスト化して蓄積し、分析する。これまで暗黙知のため共有が難しかった電話応対の特徴を可視化する。

 電話応対を分析するAIの開発では、可視化した特徴を使い、顧客が電話応対のどの部分に満足したのかを推定できるようにする。顧客が満足したのは、担当者の応対内容なのか、応対の結果なのか、さらに満足したのが応対内容であれば、どの言葉や態度に満足したのかを導き出す。顧客満足度を左右する要素が何かを把握するのが目的だ。

 これら電話応対の特徴と顧客の満足度を左右する要素を基に、その場面に応じた最適な応対をリアルタイムにガイドするAIを開発する。そのために、電話応対中の顧客が満足なのか不満なのか、といった感情を分析する。そこから、次にどのような言葉をかければよいのかなどをAIでガイドする。顧客の感情に合わせて応対することで、顧客満足度をさらに高めることを期待する。

 損保ジャパン日本興亜は、AI開発の過程で得られた電話応対の特徴や新たな知見に基づき、より高品質な電話応対ができる社員の育成を進めるとしている。

 なおAI開発では、NTTグループのAI関連技術「corevo」を活用する。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名損害保険ジャパン日本興亜
業種金融・保険
地域東京都新宿区(本社)
課題事故受付から保険金の支払いまでの電話応対の品質を高めたい
解決の仕組み顧客の感情に応じて適切な応対をリアルタイムにガイドするAIを開発する。電話応対に優秀な社員の応対音声などを分析しノウハウを習得する
推進母体/体制損保ジャパン日本興亜、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)
活用しているデータ電話応対時の音声データ、電話応対が優秀な社員「クレドマイスター」の応対音声データなど
採用している製品/サービス/技術NTTグループのAI関連技術「corevo」、通話内容をテキストデータ化するシステムなど(いずれもNTT Comが開発・構築)
稼働時期2020年から開発