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カインズ、コールセンターをAmazon Connectに切り替えAI機能なども活用
加えて緊急時の対応も変化した。たとえば商品のリコールが発生すると、コールセンターも緊急的に応答力を増やさなければならない。Amazon Connectの場合、社内リソースによる増席であれば「2営業日で稼働できる」(野原氏)ようになった。
さらに外部リソースを使った緊急増席であれば「翌営業日の午後から稼働できる」と野原氏はいう。外部リソースとしては、トランスコスモスの「緊急コールセンター」を利用している。緊急コールセンターは、「突発事象に対応できるよう常時スタンバイしているサービス」(同)である。
トップダウンでクラウドファーストに転換
実はカインズが属するベイシアグループは今、クラウド活用を推進している。AWSを利用事例としては、カインズのコールセンターのほか、DWH(Data Warehouse)環境を「Amazon Redshift」で刷新したり、需要予測型の自動発注システムを構築したりしている。
クラウド活用を牽引するのが、ベイシア流通技術研究所だ。ベイシアグループのIT組織に位置づけられ、「高効率な流通小売りの仕組みを追求する機関としてグループ各社の業務をITの側面から支援している」と、流通技術研究所 AP運用部クラウド基盤Gマネージャーの加藤 雅之 氏は話す。カインズのAmazon Connect導入も流通技術研究所が開発した。
ベイシアがクラウドファーストに変わったのは、「2018年の年頭の朝礼で、カインズ代表取締役社長(現代表取締役会長)の土屋 裕雅 氏が『IT企業宣言』をし、パブリッククラウドを全社活用するためにCoE(Center of Excellence)を設立したことから」(加藤氏)。
2017年前半まで、同グループでは自社データセンターの活用を最優先していた。クラウド推進室は存在したものの「個別サポートが限界で、グループ全体のクラウド利用を推進する機能とは、ほど遠かった。クラウドファーストはトップダウンでなければ始まらなかっただろう」と加藤氏は当時を振り返る。
土屋社長がクラウドに目覚めたのは、2017年後半に「AWS Cloud Roadshow 2017 名古屋」に参加したのがきっかけ。そこで興味を持ち、トップ自らが「Technical Essential 1トレーニング」を受講したという。土屋氏は米ラスベガスで開催された「re:Invent 2017」にも参加し「エンジニアの熱量を感じた」(加藤氏)ようだ。
現在のCoEについて加藤氏は「AWSを自分たちで使えるようになることを目指している」と語る。そのために「AWSが普及すればするほど、ベストプラクティスな構成が出てくる。だが、そのベストプラクティスが良いとわかっていても議論し、自分たちで結論を出して、深い理解と納得を得ておくことが重要だ」(加藤氏)と考えている。
そのうえで社内の成熟度に合わせて、グループ共通のAWS基盤環境を構築したり、グループ各社や外部ベンダーがシステムを開発・運用するためのガイドラインを作成したりしている。これらを手に「クラウド本来の俊敏性を発揮したビジネスに対応していきたい」(加藤氏)考えである。
企業/組織名 | カインズ |
業種 | ホームセンター |
地域 | 埼玉県本庄市(本社)、関東中心とした東日本、東海、関西の各地域 |
課題 | コールセンターの応答率を高めたい |
解決の仕組み | クラウドベースのコールセンターに切り替える |
推進母体/体制 | カインズ、ベイシア流通技術研究所 |
活用しているデータ | コールセンターに掛かってきた呼、VoC(顧客の声)、CRMに格納している顧客情報など |
採用している製品/サービス/技術 | コンタクトセンターのクラウドサービス「Amazon Connect」(AWS製)、「壁deコンタクト for Amazon Connect」(ズィーバーコミュニケーションズ製) |
稼働時期 | 2019年5月14日から順次 |