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丸の内のコワーキングスペース「point 0 marunouchi」、未来のオフィス空間づくりを実証中

DIGITAL X 編集部
2019年9月12日

東京・丸の内にある会員型コワーキングスペース「point 0 marunouchi(ポイントゼロマルノウチ)」において、理想のオフィス空間の実現を目指す実証実験が始まっている。会議室や仮眠ブースなどにおける照明や音響、香り、飲食などの効果を検証し、サービスの高度化を図る。2019年7月8日に発表した。

 「point 0 marunouchi(ポイントゼロマルノウチ)」は、point 0が運営する会員型のコワーキングスペース(図1)。オカムラ、ダイキン工業、東京海上日動火災保険、三井物産、ライオンの5社が、未来のオフィス空間づくりを目指して立ち上げた。今回新たに、アサヒビール、TOA、TOTO、パナソニックの4社が参画する。

図1:IoTを活用して未来のオフィス空間を目指すpoint 0 marunouchi

 実証実験では、オフィス空間における利用者と、そこに提供されている種々のコンテンツの効果などをデータとして収集し、分析する。具体的には、利用者の動線や、仕事中の姿勢、室内の温湿度のほか、内装デザイン、照明、音響、香り、アルコールを含めた飲食などが対象で、働く人の効率性や創造性、健康におよぼす影響を測る。

 これらのデータを収集・分析するために、point 0 marunouchiには空間データの共創プラットフォーム「CRESNECT」が導入されている(図2)。初期メンバーにソフトバンクを加えた6社が2018年7月30日に共同発表した仕組みで、空調機などの各種センサーから得られるなデータと、各社のデータやノウハウを同一基盤で取り扱う。point 0 marunouchiは、CRESNECTを使った第1弾のプロジェクトである。

図2:point 0 marunouchiに備わる共創プラットフォーム「CRESNECT」の概念

 point 0 marunouchiで提供されているコンテンツは、さまざまだ。たとえばオープンスペースでは、利用者の好みやオフィスの状況、その日の仕事内容に適した執務エリアを推奨したり、オフィス内の騒音をBGMでマスキングしたりするほか、空調・照明・香りを利用者に合わせてコントロールできる。

 会議室では、目的に応じた調色照明や音響の心理効果で会議の効率や創造性の向上を図る。会議中の音声を分析し、会議の活性化に向けてリフレッシュできる香りを噴霧する機能などもある。

 集中ブースでは、外部からの視線や音を適度に遮りながら、利用者に圧迫感を与えないパーティションを設置する。空調や照明、香りなどは、センシング技術により一人ひとりに合わせて制御することで集中作業をサポートできるとしている。

 口臭リスクチェックによるコミュニケーションの変化を測ったり、クリエイティブな発想を生み出すための新しいアルコールの飲用方法を提案したりもする。瞑想ルームやシャワールームなど、気持ちの切り替えやストレスの低減を図れる設備もある。

 実証実験に参画する各社の目的を表1に挙げる。

表1:point 0 marunouchiでの未来のオフィス空間作りの実証に参画する企業の目的
会社名参画の目的
オカムラセンサーを搭載したオフィス家具の導入と、その実験を通じた商品化の推進
取得したビッグデータを活用した新たなサービス開発の推進
参加企業とのコラボレーションによる新たな価値提供の可能性の模索
ダイキン工業空調機をハブとした新たなビジネスソリューションの創出
異業種企業とのパートナーシップによる、自社だけではなし得ない価値ある空間ソリューションの提供
東京海上日動火災保険ストレス度や集中度などを中心とした「未来のオフィス空間」づくりに関する研究で計測・蓄積されるセンシングデータの分析などによる、ヘルスケア分野などにおける新たなサービス提供や健康経営ソリューションの開発に向けた可能性の検討
ライオン自社の技術/ソリューションを活用し、口腔内のセンシングによる口臭リスクのチェック、メンタルヘルスケアを意識した空間創りなどを通じた、オフィスワーカーのヘルスケア、エチケットリテラシー向上に貢献する新たな製品・サービスの開発
MyCityIoTプラットフォームを活用したワークスペースのパーソナライゼーションと最適化の実現る
空間ソリューションの開発と事業化
アサヒビールIoTを用いた新しい酒類の提供方法・飲用シーンの創出
「クリエイティブな発想を生み出す」 新たな飲み方提案の創出
コワーキングスペースを活用したリーン"インサイト"アップ方式の新商品開発
TOA時間、場所、目的に合わせた音声での情報提供や環境音・BGMでの空間演出で、快適な働き方の実現に貢献するとともに、参画企業との協業による「未来のオフィス空間」の創造を通した、音の新たな価値提供の開発
TOTOオフィスにおける水まわり空間での使用実態のデータ収集と分析
取得データを活用した、水まわり空間での新たな価値の創出
参加企業との協創による、水まわり空間への新しい提案の検討
パナソニック・他社共創による実証実験を通じた空間ソリューションの知見創出
各参画企業との協創による空間パッケージの構築
※上記を基に将来的には「コミュニティ」活性化空間の創出を目論む
デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名「point 0 marunouchi」(運営会社はpoint0)
業種サービス
地域東京都千代田区(実証実験地)
課題働き方改革をテーマとした理想のオフィス空間の実現
解決の仕組みIoTとセンシング技術でオフィス環境の利用者ごとの最適化を図る
推進母体/体制オカムラ、ダイキン工業、東京海上日動火災保険、ライオン、MyCity、アサヒビール、TOA、TOTO、パナソニック
活用しているデータ働く人の動きや生体情報、設置機器等の運転データ
採用している製品/サービス/技術IoT、空間データの共創プラットフォーム「CRESNECT」
稼働時期2019年7月16日