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日本気候リーダーズら、再生可能エネルギーの需給マッチングのための情報流通基盤をブロックチェーン技術で構築

DIGITAL X 編集部
2019年10月25日

脱炭素化を目指す2つの企業・団体グループが、再生可能エネルギーの需給マッチングを図るために情報流通基盤をブロックチェーン技術を使って構築した。参加する企業・団体間で、需給マッチングのほか、情報共有による共創を促すのが目的だ。情報基盤を提供する富士通が2019年10月8日に発表した。

 情報流通基盤を構築したのは、脱炭素社会の実現を目指す日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)と、使用電力を再生可能エネルギー100%にするためにJCLPらが新たに起こしたイニシアティブの再エネ100宣言 RE Actionの2団体。情報基盤は、両グループの参加会員企業・団体が2019年10月から運用するコミュニティー「脱炭素コンソーシアム」で利用する(図1)。

図1:情報流通基盤で再生可能エネルギーに関する需給マッチングや企業間の情報共有を促す

 情報流通基盤が提供する主要機能は、(1)再生可能エネルギーの需給マッチング、(2)共創や協業を促すための情報共有、(3)会員間のコミュニケーションの3つ。

 需給マッチングでは、再エネを導入したい企業が所在地や消費電力量などの需要情報を、再エネを供給する企業は電力プランや料金などの供給情報を、それぞれ登録すれば、情報基盤上でネットワーク図形式で可視化される(図2)。マッチングが成立すれば、データに暗号化などを施し情報を安全に共有する。

図2:再生可能エネルギーの需給情報をネットワーク図形式で表示する

 情報登録には、東京大学の大澤 幸生 教授が考案したデータ記述モデル「データジャケット」を用いる。データの詳しい内容は明かさず、データの概要や取得期間、取得場所などを記述することで、データが持つ価値を人間が理解できるようにする。

 ネットワーク図は、大澤教授が提供する可視化手法「KeyGraph」で可視化している。データジャケットの記述内容を解析することで、データ間の相関関係を導き出している。

 情報共有では、企業や団体は、それぞれが持つ技術や事例といったノウハウや、課題、助成金などを登録。これらもネットワーク図で可視化する。共通課題を持つ企業・団体が共創したり、新しいビジネス企画などのアイデアを創出したりを促す。

 たとえば、太陽光発電や蓄電池、電気自動車などの設備をまとめて管理・制御するVPP(Virtual Power Plant:仮想発電所)の構築や、再エネ設備のシェアリングなど、単一企業では難しかった再エネに関する新たな取り組みが起こることを期待する。

 コミュニケーション機能では、会員の専門性や関心事を参照したり、会員同士がトークしたりでき、共創・協業のプロセスを支える(図3)。

図3:会員の専門性や関心事を確認したり会員同士でトークしたりができる

 情報基盤には、富士通がブロックチェーン技術を使って開発・提供する「FUJITSU Intelligent Data Service Virtuora DX データ流通・利活用サービス」を採用している。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)、再エネ100宣言 RE Action
業種公共
地域神奈川県三浦郡(JCLP事務所)、東京都千代田区(再エネ100宣言 RE Action事務所)
課題脱炭素社会の実現に向けて再生可能エネルギーの活用を促すために需給情報などを安全にやり取りしたい
解決の仕組みブロックチェーン技術を使った情報基盤を整備し、情報共有を促す
推進母体/体制JCLP、再エネ100宣言 RE Action、富士通
活用しているデータ再生可能エネルギーの需給情報や、会員企業・団体がもつノウハウなどの情報、会員のプロフィールなど
採用している製品/サービス/技術ブロックチェーン技術を使ったデータ流通基盤「Virtuora DX」(富士通製)、データの記述手法「データジャケット」、データの関連性の可視化手法「KeyGraph」など
稼働時期2019年10月