• UseCase
  • 公共

さいたま市美園地区、情報銀行を核に個人情報に基づくヘルスケアサービスなどを実証

DIGITAL X 編集部
2019年10月30日

さいたま市らは同市美園地区において、情報銀行の仕組みを活用したヘルスケアなどの地域サービスの実証実験を2019年10月22日に開始した。市民モニター100人の参加を募り、個人のヘルスケアデータや購買データ、住環境データなどを情報銀行で組み合わせ、各種サービスに利用する。さいたま市などが2019年10月4日に発表した。

 さいたま市美園地区では、さいたま市や慶應義塾大学、イオンリテールなど産官学が参画する美園タウンマネジメント協会が、「スマートシティさいたまモデル」の構築に取り組んでいる。今回、個人情報を地域サービスに活用するための「ミソノ・データ・ミライ」プロジェクトを立ち上げた。

 ミソノ・データ・ミライでは、市民モニターが生活中に生成する個人情報をプロジェクト参加企業がそれぞれに取得し、それらを情報銀行による「情報信託機能」によって統合し、健康アドバイスや各種地域サービスを提供する(図1)。信託機能は、「共通プラットフォームさいたま版」が提供する。

図1:「ミソノ・データ・ミライ」プロジェクトの全体イメージ

 取得するデータは、体組成や活動量、血液データなどを含むヘルスケア関連データや、電子マネーの「WAONカード」やクレジットカードによる購買履歴といった個人情報。参加者には健康管理⽤のスマートウォッチやIoT(Internet of Things:モノのインターネット)対応⻭ブラシを無償提供し、専⽤アプリを使ってデータを取得する。

 実験では、個人情報に基づく各種の地域サービスによって、モニター参加者の行動や健康度合いの変化などの効果を検証するとともに、個人情報の経済的価値などを検証する。

 地域サービスとしては、たとえば実験に参加するSOMPOひまわり生命保険
は、歩数や睡眠などの毎日のデータを分析し個々人にカスタマイズした保険商品やヘルスケアサービスを検証。ヘルスケア関連ベンチャーのシルタスは、商品購買データから摂取している栄養状態を分析し、不足している栄養素を補う食材やレシピを提案することの効果を検証する。

 予防医学に特化するベンチャー企業のジャパンヘルスケアは、歩行時の姿勢を可視化する「ミラーウォーク」を街中に設置し、歩き方を改善することで健康につなげるサービスを検証する。

 今回の実証は、政府が推進するデータ主導社会の実現に向けた取り組みの1つ。美園タウンマネジメント協会の提案が情報信託機能活用促進事業に採択された。実証期間は2019年10月22日から2020年1月26日まで。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名美園タウンマネジメント協会
業種公共
地域埼玉県さいたま市美園地区
課題地域の個人情報を統合する形で新たな地域サービスを生み出したい。そのための個人情報収集に対する市民の受容性を高めたい
解決の仕組み複数の個人情報を連携する基盤を使い、新たなサービスの効果や受容性を検証する
推進母体/体制美園タウンマネジメント協会(慶応義塾大学、工学院大学、東京電機大学、イオン、イオンリテール、イオンクレジットサービス、ウエルシア薬局、タニタヘルスリンク、SOMPOひまわり生命保険、シルタス、ジャパンヘルスケア、日本アイ・ビー・エム、ソフトバンク、おもてなしICT協議会、さいたま市、美園タウンマネジメント、シード・プランニング、筑波大学大学院)
活用しているデータヘルスケアデータ、購買データ、住環境データなど
採用している製品/サービス/技術健康管理用スマートウォッチ「Fitbitフィットネストラッカー」(米Fitbit製)、IoT対応歯ブラシ「G・U・M PLAY」(サンスター製)など
稼働時期2019年10月22日から2020年1月26日まで