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トヨタ、降雨状況の把握にワイパーの稼働データを用いる実証実験をウェザーニューズと

DIGITAL X 編集部
2019年12月2日

トヨタ自動車が、道路での雨などの気象リスクを把握するために、ワイパーの稼働データを用いる実証実験に取り組んでいる。気象情報サービスを手がけるウェザーニューズと共同で、同社が提供する気象データと組み合わせて分析する。2019年11月1日に発表した。

 トヨタ自動車が2019年11月1日から取り組んでいるのは、道路とその周辺における気象リスクをワイパーの稼働状況と気象データに基づいて把握するための実証実験。東京都、大阪府、愛知県の3都府県を対象に、同地域を走るトヨタのコネクティッドカーからワイパーの稼働状況を取得し、ウェザーニューズが提供する実際の気象データと照らし合わせる。

 特設サイト「ワイパー天気予報」を開設し、実験に基づく天気予報を公開している(図1)。

図1:特設サイト「ワイパー天気予報」の表示例。東京を中心に、ワイパーが「弱」または「強」で稼働している車の走行場所を表示している

 降水エリアの把握や予測に用いられている雨雲レーダーは、対流圏下層(上空2km以下)の雨雲が降らせる雨や、霧雨のような小さな雨粒による雨を捉えられないという弱点がある。そうした雨の降水エリアの正確な把握は困難だ。

 これに対しワイパーの稼働状況は、主に降水の有無に対応しているため、雨雲レーダーでは捕捉が難しい降雨状況の把握が期待できる。

 雨雲レーダーに映らない低層の雨雲により雨が降った関東での過去の事例では、ウェザーニューズが提供するスマートフォン用アプリケーションの利用者から雨の報告があったエリアと、ワイパーの稼働エリアが、おおよそ一致していたという(図2)。

図2:2019年7月7日8時30分のワイパー稼働状況と天気報告データを表した地図。橙がワイパー稼働があった地点で、赤丸がスマホアプリによる雨の報告があった地点。灰ではワイパーは稼働していない

 実験では、ワイパーデータと気象データの関係を分析し、降水エリアを正確に把握できるようにするほか、ワイパー動作の強弱に基づく降水強度の推定などにも取り組む。

 トヨタとウェザーニューズは、気象観測・予測の精度と運転者の安全性の向上を目指す共同研究に取り組んでいる。2019年夏には、道路の冠水箇所を推測するAI(人工知能)のアルゴリズムを開発し、同10月に実証実験を実施した。今回の実験は、それに続くもので、今後はワイパーデータの天気予報への活用も検討する。

 またトヨタは、車両からデータを得るために、国内で発売するほぼすべての乗用車に車載通信機「DCM(Data Communication Module)」を搭載していく計画だ。なおデータに対しては、個人が識別されないよう統計処理を施している。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名トヨタ自動車
業種製造
地域東京都・大阪府・愛知県(実証実験地)、愛知県豊田市(本社)
課題車の安全性を高めるために、道路における雨などの気象リスクを把握したい
解決の仕組み車のワイパーの稼働データと気象データを組み合わせることで、雨雲レーダーでは把握が難しい種類の雨の降雨状況を把握する
推進母体/体制トヨタ自動車、ウェザーニューズ
活用しているデータワイパーの稼働状況(トヨタのコネクテッドカーから取得)、気象データ(ウェザーニューズが提供)など
採用している製品/サービス/技術車載通信機「DCM(Data Communication Module)」(トヨタ製)
稼働時期2019年11月1日に実証実験を開始