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ミツウロコCS、LPガスの残量をSigfoxで毎日把握し配送回数の削減を検証

DIGITAL X 編集部
2019年12月3日

LPガス事業者向けシステムなどを手がけるミツウロコクリエイティブソリューションズ(ミツウロコCS)は、LPガスの残量を毎日把握することで配送回数や平均配送時間を削減する仕組みを検証し、従来比で約3割減という効果を確認した。検針を自動化し、そこから適切な配送時期を割り出した。実証実験に参加したNECとともに2019年11月20日に発表した。

 ミツウロコクリエイティブソリューションズ(ミツウロコCS)はLPガス事業者向けシステムなどを提供している。今回、LPガスの検針業務自動化と配送業務効率化に向けた仕組みを名古屋市で2018年10月から2019年9月にかけて実証実験した。

 具体的には、LPガスメーターの指針値を無線通信を使って日次で取得し、容器内のLPガス残量を実績値として把握。その値を基に容器交換のタイミングを最適化した配送計画を立てた(図1)。

図1: LPガスの残量を日次で把握することで、顧客宅への配送回数の削減を図った

 一般にLPガスの容器は、急な大量消費などによるガス切れを避けるため、供給用と予備用の2つの容器を設置し、配送時は供給側のみを交換する。今回の配送計画では、2つの容器の合計残量がわずかになった時に配送し両方を交換することで、配送回数を減らした。

 検証の結果、配送回数は従来の2568回が29.1%減の1820回に、残ガス率は16.6%から53.0%減の7.8%に、配送本数は4430本から7.6%減の4093本だった。前年同月比では、1日平均の配送業務時間は9.4時間から6.5時間に30.9%減り、1日平均の走行距離は105.8kmから84.1kmに20.5%減少した。

 ガスの残量(使用量)の自動取得においては、LPガスメーターに「IoT無線化ユニット」を取り付け、指針値を読み取り、LPWA(Low Power Wide Area:省電力広域無線通信技術)規格の「Sigfox」を使って、LPガス事業者のシステムに送信した。

 結果、所定の検針日の取得率は99.7%を達成(2019年9月時点)。自動取得した値と、検針員による従来の値との差異は0件だった(2018年10月から2019年9月にかけて)。

 実験には、ミツウロコCSのほか、NECが参加し、NECの「LPガスメーター指針値提供サービス」と、ミツウロコCSのガスメーター情報利用システム「Smart OWL」を活用した(図2)。

図2:実証実験システムの概要。LPガスメーターに「IoT無線化ユニット」を取り付け、指針値をLPWAの「Sigfox」で日次で集計した

 LPガス配送事業においては、昨今の人手不足に伴い、検針員と配送員それぞれの確保が難しくなっており、配送回数や業務時間の削減が課題になっていた。検針の結果に基づく配送・交換では、供給側のガスがまだ残っていても交換するケースもあり効率が良いとは言えなかった。

 今後は、効率的な配送ルートをAI(人工知能)を使って自動で決定するシステムの開発も進めながら、今回実証した日次でのメーター情報を活用したシステムを2020年10月頃に、AIを使った配送ルート提示システムを2021年4月頃にそれぞれ商用化する予定である。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名ミツウロコクリエイティブソリューションズ(ミツウロコCS)
業種サービス
地域名古屋市(実証実験地)、埼玉県さいたま市(本社)
課題LPガスの検針員やガス容器配送員の人手が不足しており、配送の回数や業務時間を削減したい
解決の仕組み検針業務を自動化しガス残量を日次で把握することで、残量がわずかな容器を交換することで、配送・交換頻度を下げる
推進母体/体制ミツウロコCS、NEC
活用しているデータLPガスメーターの指針値など
採用している製品/サービス/技術ガスメーター情報利用システム「Smart OWL」(ミツウロコCS製)、「LPガスメーター指針値提供サービス」(NEC製)、IoT無線化ユニット、LPWA(省電力広域無線通信技術)の「Sigfox」(京セラコミュニケーションシステムが提供)など
稼働時期2018年10月から2019年9月にかけて実証実験を実施