花王、皮脂データに基づく美容カウンセリングサービスのテスト運用へ

　花王が取り組むのは、皮脂から将来の肌状態を予測するとともに、遺伝情報に基づき個別の美容アドバイスやスキンケアを提供し、肌状態の改善や予防のためのカウンセリングサービスである。2020年から一部機能をテスト運用し、利用者の意見などを聞きながら精度の向上と改良を進めていく。

　カウンセリングには、花王が開発した「皮脂RNAモニタリング技術」を使用する。皮脂からRNAを単離して分析する。RNAは日々変動する体内の状態を反映するため、従来の肌測定・解析技術では把握できなかった肌の内部の状態が分かるとしている。あぶらとりフィルムを使って皮脂を採取すれば、1人当たり約1万3000種類のRNA出現量を得られるという。

　皮脂RNAから得られたデータは、機械学習や深層学習（ディープラーニング）などのAI（人工知能）技術を用いて予測アルゴリズムを開発する。　機械学習や深層学習の技術はPreferred Networks（PFN）が提供する。皮脂RNA発現データなどを学習し、肌や皮膚、体内の因子状態を推定する予測モデルを構築する（図1）。

図1：皮脂RNA発現情報や健康状態のデータをAI（人工知能）で分析し、肌の状態を予測する

　テスト運用するサービスは、皮脂RNAモニタリング技術の実用化に向けた第一弾プロジェクトになる。両者は、高齢化の進展とともに増加しているパーキンソン病など難治性疾患の早期診断技術の共同研究も予定している。