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ふくおかフィナンシャルグループ、オムニチャネル戦略で顧客のヒット率を倍増

DIGITAL X 編集部
2020年1月17日

九州を地盤とする、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)が、オムニチャネル戦略で成果を挙げている。非対面チャネルでの顧客コミュニケーションを強化したことで、顧客へのヒット率が従来の倍に増えたという。そのためのデータ分析ツールを提供するSAS Institute Japanが2020年1月4日に発表した。

 ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)がオムニチャネル戦略に取り組み始めたのは2017年のこと。まず、インターネットバンキングとホームページ、メールを対象にデータ分析ツールを展開。2017年11月にはコンタクトセンターと営業店との情報連携機能を、2018年8月にはSMS(ショートメッセージサービス)による情報発信も開始している。

 これらのオムニチャネル活用により、3つの効果が得られているという。(1)One to Oneマーケティングの実践、(2)リアルタイムなコミュニケーション、(3)チャネル横断の顧客アプローチだ(表1)。

表1:ふくおかフィナンシャルグループのオムニチャネル戦略における効果
効果概要
One to Oneマーケティングの実践顧客の行動履歴や購買履歴に合わせて顧客一人ひとりに異なる情報発信が可能に。ヒット率が向上し、システム稼働前の約2倍を維持している
リアルタイムなコミュニケーションFFGの施策に対し顧客が反応した際に、迅速かつ顧客に合わせた適切なコミュニケーションが可能になった
チャネル横断の顧客アプローチコンタクトセンターと密に連携し、対面だけでなく非対面でも顧客をサポートすることで最適な金融サービスを提供できるようになった

 (1)One to Oneマーケティングの実践では、ライフステージや家族構成などから約20のセグメントを用意。各セグメントに絞り込んだ特定集団に情報を発信している。そのうえで、顧客個人の行動履歴をチャネル全体で共有し、最適なメッセージを最適なタイミングで届けられるようにした。顧客一人ひとりに異なる情報を発信することがヒット率の向上につながっている。

 (2)リアルタイムなコミュニケーションとは、FFGが発信した情報に対して何らかの反応を示した顧客にリアルタイムで顧客のステージに合わせたコミュニケーションをとることである。

 たとえば投資信託の販売であれば、最初のステージでは、顧客に金融リテラシーの醸成を図り資産運用の価値を理解してもらう。そこで資産運用に興味をもった顧客には、セミナーへの参加を促し、専用口座の開設や投資信託の購入へとつなげる。各場面で顧客の反応をモニターすることで、次の段階に向けた最適な提案ができるようになったという。

 (3)チャネル横断の顧客アプローチでは、顧客の離脱抑止に効果を上げている。たとえば、オンラインでのローンの申し込みでは「入力が面倒」といった理由から途中で離脱する顧客が一定数存在する。FFGでは、顧客の離脱情報をコンタクトセンターと共有することで、コンタクトセンターからフォローすることで、約20%の顧客がオンライン申し込みプロセスに復帰しているという。

 FFGは2008年から「イベント・ベースド・マーケティング(EBM)」に取り組んできた。就職や結婚など顧客に起きた出来事を起点に最適なタイミングで最適な商品を顧客に提案するマーケティング手法である。その延長で、顧客とのコミュニケーション強化に向けて開始したのがオムニチャネル戦略だ。

 これらの取り組みにおけるデータ分析には、米SAS Institute製品を使っている。2017年からのオムニチャネル戦略では、同社の「Intelligence Decisioning」を導入している。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名ふくおかフィナンシャルグループ
業種金融
地域福岡市(本社)
課題非対面チャネルを使った顧客とのコミュニケーションを強化したい
解決の仕組みデータ分析に基づくオムニチャネル戦略を実施し、オンラインとコンタクトセンター、店舗などの顧客接点を有効活用する
推進母体/体制ふくおかフィナンシャルグルー
活用しているデータ顧客の行動履歴や購買履歴など
採用している製品/サービス/技術「SAS Intelligence Decisioning」(SAS Institute製)など
稼働時期2017年から順次